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玉虫色の原発、立地困惑 新エネルギー基本計画案

  • 2018年5月17日
  • 11:20
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新たなエネルギー基本計画案について意見を述べる西川一誠知事(前列右から2人目)=5月16日、経済産業省
新たなエネルギー基本計画案について意見を述べる西川一誠知事(前列右から2人目)=5月16日、経済産業省

 経済産業省の有識者会議で5月16日に提示されたエネルギー基本計画案は、原子力を「長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけながらも、「可能な限り低減させる」とする矛盾が際立った。国が将来にわたって原発を推進するのか、自然減に任せるのか、再生可能エネルギーの普及で原発ゼロにするのか。はっきりしない微妙な表現がちりばめられ、さまざまな解釈の余地を残す。玉虫色の計画案がこのまま閣議決定されれば、福井県をはじめとする原発立地地域は今後も翻弄(ほんろう)され続ける。

 ■表向きは脱原発だが…

 今回の案で示された原子力に関する記述は、ほぼ前回を踏襲する中、「2030年度のエネルギーミックスにおける電源構成比率(原発比率20〜22%)の実現を目指し、必要な対応を着実に進める」と書き加えられた。ただ、新たに示された50年のシナリオに原発比率は示されず、原子力の技術開発は進めるとしつつも「再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り依存度を低減する」と記した。

 一方、再生エネは主力電源化を目指すとしており、表向き30年以降は再生エネの拡大に伴って原発は減っていくと読み解ける。しかし、県関係者は「脱原発の条件に再生エネの経済的自立を掲げており、技術革新が進まない限りは原発が重要だという意思表示の裏返しとも取れる」と解説する。30年時点で20〜22%の原発比率を維持しながら、その後の20年で原発から再生エネに急激にバトンタッチするというのは無理があるとの見立てだ。

 ■今から議論しないと

 経済や雇用の面で原発の恩恵を受けている福井県。50年時点の原子力政策の方向性は死活問題だ。原発の運転は最長60年に制限されており、新増設や建て替え(リプレース)をしなければ、50年時点で関西電力大飯3、4号機以外は稼働していないことになる。

 有識者会議の委員を務める西川一誠知事は「原発は大規模なプラントを長期にわたり造るものだ」と指摘。計画から運転開始までに数十年必要な原発を50年以降も使うなら、今から具体的な議論をしないと間に合わないとの立場を鮮明にする。

 福井県会も「50年の温室効果ガスの削減目標など国際情勢を踏まえ、再生可能エネルギーや原子力などを重要なエネルギー源として位置づける」ことを求める意見書を2月県会で可決。敦賀市会や、渕上隆信敦賀市長が会長を務める全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)も、原発の新増設を計画に明記するよう求める意見書、要望書を国に提出した。

 ■霞が関文学散見

 国は立地地域の求めを無視し、計画案では新増設に一言も触れなかった。しかし、重要なベースロード電源と位置づけた文中に「長期的な」という4文字を土壇場で加筆した。世論の反発が根強い新増設への言及は避けつつ、長期的に原発を活用する姿勢を強調することで、表現のバランスを取りたい思惑が透ける。微妙な言い回しであらゆる解釈の余地を残す「霞が関文学」がまたも露呈した。

 16日の会合では、矛盾だらけの原子力の記述に怒りをあらわにする委員も。橘川武郎東京理科大教授は、「原発を脱炭素化の選択肢とするならリプレースは不可欠だ」と主張。行間を読ませる形でリプレースの必要性を訴えているという別の委員の指摘を踏まえ、「もしそうなら、あまりに卑怯(ひきょう)だ。はっきり書く必要がある」と語気を強めた。

 議長役の坂根正弘コマツ相談役は「何度、政治が原子力から逃げるなと言い続けてきたか。今回これだけ言っても、どうしても突破できない。不都合な現実から目を背けたままだ」と、行政の怠慢を痛烈に皮肉った。


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