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核兵器開発の地で原爆の非人道性展示へ 米国立歴史公園

  • 2018年5月14日
  • 09:00
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米内務省国立公園局がまとめた基本文書
米内務省国立公園局がまとめた基本文書

 米国が第2次大戦中、原爆開発を推進した「マンハッタン計画」関連地の米国立歴史公園が、原爆投下による人的被害などの非人道的な側面を展示する方針を固めたことが13日、米内務省国立公園局への取材で分かった。広島、長崎両市の要望を踏まえたもので、具体的な内容は今後詰めるが、担当者は「被害を尊重し余すことなく触れるつもりだ」と話している。

 米国では原爆投下について「戦争終結を早め、多くの米兵の命を救った」との主張が根強く、1995年には国立スミソニアン航空宇宙博物館が企画した原爆展が退役軍人らの反発で事実上中止された。投下正当化論は公園の展示でも併記される見込みだが、今回は異例の対応といえそうだ。

 米政府は2015年11月、マンハッタン計画の中心地のニューメキシコ州ロスアラモスやテネシー州オークリッジ、ワシントン州ハンフォードの原爆研究開発施設や周辺区域を国立歴史公園に指定。広島、長崎両市が「原爆投下の正当化が強調されかねない」と懸念を伝え、人体への影響を展示するよう求めていた。

 公園局によると、公園の運営指針となる基本文書は「核兵器なき世界」を掲げたオバマ前政権下でまとめられ、広島と長崎の被害について「壊滅的で無差別だった」と記載。爆風や炎で多くの人が死亡した上、助かっても重度のやけどや急性放射線障害に苦しみ、息絶えたとし「生き残っても家族を失い生活を破壊され、生涯にわたりがんや白血病の著しい増加リスクにさらされた」と説明している。

 施設の展示計画の策定は19年にも着手し、2年以内の完成を目指す。核被害の展示場所は未定。今は、施設や記録文書の報告書を作成し、人間や自然環境への影響を含めた展示のための調査をしている段階だ。

 展示計画の最高責任者クリス・カービー氏は、核の使用による非人道的な結果について「マンハッタン計画を物語る上で非常に重要な要素で、展示の鍵となる」と話す。

 基本文書は、米軍などが戦争末期に計画していた日本本土上陸作戦が実行されれば、最大で数百万人の犠牲が見込まれたとも解説しており、原爆投下が終戦を早めたとの見方も従来通り紹介するとみられる。

 広島市平和推進課の担当者は、被爆地の要請が受け入れられたことを評価した上で「原爆開発を賛美せず、客観的な事実に基づく展示にしてほしい」と話している。

米国世論に変化

 非政府組織「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の川崎哲国際運営委員の話 米国内で原爆投下正当化論は根強く、人的被害は数字で語られるだけだった。国立公園の展示で被爆者の人間としての苦しみに触れることは重要だ。オバマ前大統領は「核兵器なき世界」を掲げて広島を訪問し、被爆者と向き合った。若い世代は必ずしも正当化一辺倒ではなくなっており、米国内の世論も変化している。ノーベル平和賞を受賞したICANの活動などで近年、国際的に核の非人道性がクローズアップされ、展示方針もその流れの中にあるのではないか。ただ、核の役割拡大を目指すトランプ政権下で方針転換される恐れがあり、注視が必要だ。

ズーム

 マンハッタン計画 第2次大戦中、ナチス・ドイツが先に原爆を製造することを恐れ、米国は極秘に開発を進めた。ニューメキシコ州のロスアラモス研究所を中心に、テネシー州オークリッジで広島原爆に使われたウランを、ワシントン州ハンフォードで長崎原爆用のプルトニウムを製造した。1945年7月、人類史上初の核実験に成功し翌8月、広島と長崎に原爆を投下した。


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