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原子力研究拠点、福井と茨城の機能どう再編 試験研究炉廃炉で交錯する両県の思惑

  • 2018年4月17日
  • 09:41
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後継炉の建設が検討されるJMTR=茨城県大洗町(日本原子力研究開発機構提供)
後継炉の建設が検討されるJMTR=茨城県大洗町(日本原子力研究開発機構提供)

 試験研究用原子炉の整備を巡り、廃炉が決まっている日本原子力研究開発機構の材料試験炉(JMTR、茨城県大洗町)の取り扱いが焦点となっている。文部科学省の作業部会が先月29日、中間取りまとめで後継炉の必要性に言及したためだ。福井県は高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)の廃炉に伴う地域振興の一環で試験研究炉の整備を求めており、茨城県も「後継炉を造るなら県内が中心」と主張する。多くの原子力研究施設が廃止へ向かう中、両県の拠点再編の行方に関心が高まっている。

 ■「産業用」で地域振興

 作業部会の中間取りまとめには「もんじゅ跡地は試験研究炉の整備適地」「JMTRの後継炉建設を検討」の2点が明記された。JMTRは原発の燃料や構造材の耐久性試験などが目的で、さまざまな企業が材料試験に使う。県内関係者は「後継炉が建設されれば、関連企業が県内拠点を構えてくれるだろう」とし、経済活性化につながることを期待する。

 試験研究炉は大学の実験レベルから産業用途まで幅広いが、県関係者は「もんじゅの代替だから、学生ばかりが来る施設だけでは小規模すぎる」と、産業用試験研究炉の必要性を強調。先の2月定例県会で豊北欽一総合政策部長は、試験研究炉について「人材育成や研究開発にとどまらず、中性子の特性を生かして半導体製造などに活用できることから、企業立地や新産業創出など地域振興につながる」と主張した。この中性子を照射する炉の一つこそがJMTRだ。

 ■茨城も廃炉に困惑

 JMTRは2016年10月、新規制基準対応が難しいとして廃炉が決まった。もんじゅ廃炉で福井県が混乱したのと同様に、茨城県も突然のJMTR廃炉に困惑した。

 茨城県の橋本昌知事(当時)は廃炉決定後の記者会見で、新しい研究炉設置への期待を問われ「国内に造るとすれば、(機構の施設が多数立地する)東海・大洗が中心」と主張。もんじゅ廃炉が決まった後の会見では「文科省からは、もんじゅ周辺地域とJMTRの代替炉は別の議論と考えているとの説明があった」と明かし、福井県への移転論が出ることをけん制した。

 福井県と茨城県は、それぞれ東西日本の原子力研究開発拠点としての機能を果たしてきた。ただ、「大規模な産業用原子炉は国内に二つも三つも造れない」というのは両県の関係者間で一致した見方だ。まずはJMTRの後継炉が必要との国の方針は、福井と茨城の機能をどう再編するかという議論の“号砲”にもなる。

 ■国の出方を注視

 原子力機構の原子力施設は現在88あり、そのうちもんじゅやJMTRなど40施設超が廃止へ向かっている。大阪府にある京都大、近畿大の研究炉も高経年化が進んでいる。

 こうした施設を今後どうするかも含め、文科省は本年度、敦賀地域の原子力研究、人材育成拠点の在り方を具体化する。先の作業部会ではJMTRの後継炉と敦賀地域の拠点化との関連性を問う委員もいたが、文科省側は「今後の検討による」とかわした。

 福井県幹部は「われわれはもんじゅの代替に値する試験研究炉の県内配置を求めている。それは結果的にJMTRの後継炉になるかもしれない」とした上で、「試験研究炉の配置の在り方は国が決めること。茨城県と誘致合戦したり、対立したりする気は毛頭ない」と、国の出方を注視する構えだ。


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