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ナトリウム漏れ事故教訓、なお残る課題 もんじゅとプルサーマル(7)

  • 2010年3月17日
  • 12:04
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もんじゅのナトリウム漏れ事故現場付近。空調ダクトは溶け、床にはナトリウム化合物が積もっている=1995年12月、福井県敦賀市(代表撮影)
もんじゅのナトリウム漏れ事故現場付近。空調ダクトは溶け、床にはナトリウム化合物が積もっている=1995年12月、福井県敦賀市(代表撮影)

連載「動き出す2つの環 もんじゅとプルサーマル 第2部・もんじゅ迫る判断 (1)ナトリウム対策」

 2010年3月、もんじゅの運転再開を認めるか、福井県と敦賀市の判断が迫っている。安全性や地域振興、合意形成など何が問われているのかを検証する。

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 通路が泥をまいたようにぬかるみ、空調ダクトは無残に焼けただれている。ぽっかりと穴が開いた鉄製の目皿。その下にはナトリウムの化合物が堆積(たいせき)していた。

 1995年12月、高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)で起きたナトリウム漏れ事故の光景だ。

 「水と違い、漏れた跡がはっきり残っていた。鉄の目皿に穴が開き、どれほどの高熱だったのかと衝撃を受けた」。発生から3日後、現場に立ち入った県原子力安全対策課の職員は、14年たった今も当時の様子を鮮明に覚えている。

 約200~530度の高温にしても常圧で沸騰しないナトリウムは、原子炉の熱を効率的に伝えることができ、高速炉の冷却材に適しているとされる。ただ、水や空気に触れると激しく反応する、取り扱いの難しい物質だ。計画段階から指摘されていた不安は、事故で現実化した。

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 高速増殖炉研究開発センター(もんじゅ)の向和夫所長は「机上で検討してきた(漏えい)対策には、細かすぎるところや粗すぎるところなどいろいろあった。軽水炉に比べて経験不足だった」と振り返る。

 事故を踏まえ2005年から改造工事をした。約180億円を投じた工事の柱はナトリウム漏れ対策。漏えい時にナトリウムを迅速に抜き取るため配管を増設、大口径化した。漏れを早期発見できるよう85の配管室に300個の熱感知器、400個の煙感知器、監視カメラを設置。ナトリウム燃焼を抑えるため窒素ガス注入機能も追加した。

 また、さや管が折れてナトリウムが漏れる直接の原因となった2次系の温度計は、改良型に交換。蒸気発生器細管からの水漏れで起きる細管の連続的な破損(高温ラプチャー)を防ぐ対策では、早期に漏れを検知する圧力計や蒸気を放出する弁を追加した。

 01年夏から03年秋にかけ、改造工事が妥当かを軸にもんじゅの安全性を議論した県の調査検討専門委員会の座長、児嶋眞平・前福井大学長は「安全性に関する技術的な事項を県民の視点で徹底的に審議し、改造工事で安全性が一段と高くなると確認できた」と話す。

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 ナトリウムの危険性には、司法の場でも一石が投じられた。

 03年1月、名古屋高裁金沢支部はもんじゅに対する国の原子炉設置許可を無効とする判決を出した。後に最高裁で覆ったものの、「ナトリウム漏れ事故対策に関する安全審査に重大な誤りがある」と指摘した。

 同判決には「科学技術的には全く根拠のない間違った判断」(児嶋氏)などの反発も強かった。しかし、京都大原子炉実験所の小出裕章助教は「高速増殖炉の基本的な安全問題は核暴走事故とナトリウムの問題。予期できないからこその事故で、何が起きるか予測できない」と指摘する。

 既に起きた事故の対策は当然であり、比較的容易だとした上で小出氏は「1次、2次系を含めた配管は長大で、機器も膨大。改造工事とは無関係に、また事故は起こる」と警鐘を鳴らす。

 国の原子力安全委員会は今年2月、もんじゅの運転再開を認めた。その際示した見解の中で「ナトリウム関連技術など原子力機構内部で得られる知見を継続的に反映していくことが重要」とも指摘している。

 ナトリウムを扱いこなせるかは運転再開後も大きな課題であり続ける。

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 もんじゅの運転再開を認めるか、福井県と敦賀市の判断が迫っている。安全性や地域振興、合意形成など何が問われているのかを検証する。


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