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国民合意なき原子力政策 もんじゅとプルサーマル(6)

  • 2010年2月17日
  • 11:57
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原子力政策大綱案について県民の意見を求めた「意見を聴く会」。核燃料サイクルに対する国民の合意形成は道半ばだ=2005年8月、福井県福井市内のホテル
原子力政策大綱案について県民の意見を求めた「意見を聴く会」。核燃料サイクルに対する国民の合意形成は道半ばだ=2005年8月、福井県福井市内のホテル

連載「動き出す2つの環 もんじゅとプルサーマル 第1部・主役と代役 (5)国民合意」

 「国民の十分な合意形成ができていないのではないか」

 「費用対効果からみて必要かどうか説明されていない」

 2009年11月、予算の無駄を洗い出す政府の行政刷新会議の事業仕分けでは高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)も対象となった。仕分け人からは厳しい意見が相次いだ。

 運転再開が目前に迫る中、もんじゅの存在意義を問うような議論が繰り返される―。若狭湾エネルギー研究センターの来馬克美専務理事は「14年たっても堂々巡りをしている」と感じた。

 1995年のナトリウム漏れ事故当時、来馬氏は県原子力安全対策課参事。不信感の広がった原子力政策に対し、国民の合意形成や政策決定過程への参加を求めた「3県知事提言」の調整に水面下で奔走した。国策である核燃料サイクルに国民の理解、合意があるとは到底言えないことへの立地県のいらだちが根底にあった。

 提言が突きつけた課題は今も積み残されたままだ。

  ■  ■  ■

 96年1月、福井、新潟、福島の3県知事が首相に対して行った「今後の原子力政策の進め方についての提言」。地方の側が国に政策提言するのは当時、異例だった。「きっかけはもんじゅの事故だが、本県にとっては(95年に)新型転換炉の開発が中止されたこともある。3県はプルサーマルで先行するよう要請を受けていたが、原子力政策の進め方への不信感が共通してあった」と来馬氏は語る。

 提言を受け、国は反対派も参加する「原子力政策円卓会議」や、高速増殖炉開発の必要性を議論する「FBR懇談会」を設け、当時の原子力開発利用長期計画(長計)改定や、続く原子力政策大綱への住民意見反映などに努めた。来馬氏は「それなりの成果はあった」と評価する。

 だが、内閣府が昨年10月行った「原子力に関する特別世論調査」で、使用済み核燃料の再処理によるウラン資源の有効利用を認識している人は40・8%にとどまった。原発が「不安」との回答は53・9%あり、「安心」(41・8%)を12・1ポイントも上回る。

 もんじゅの運転再開に向け、日本原子力研究開発機構は2008年2~9月、県内17市町で計23回の住民説明会を開催。昨年10月からは地元敦賀市など嶺南を中心に計10回行い、延べ約4千人が参加した。関西電力も高浜原発のプルサーマル計画について、地元での訪問活動や県内全戸に配る広報誌を通し、理解促進に努めてきた。

 ただ、立地地域での事業者の活動だけでは国民合意はおぼつかない。原子力機構の向和夫もんじゅ所長は「生活を電気に頼っている以上、将来どうするかは本来国民自らが考えるべき問題」、関電原子力事業本部の高杉政博副事業本部長も「一般の人にもう少し核燃料サイクルへの関心を持ってほしい」と漏らす。

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 事業仕分けの議論では冒頭、「もんじゅは非常に大きな政治問題」と枠をはめられた。否定的な意見はほとんど反映されず、必要な予算は認められた。九州大比較社会文化研究院の吉岡斉教授(科学史)は「原子力に関する政府の意思決定システムが開発推進勢力によってほぼ独占されている。高速増殖炉を含めて再処理路線が国民合意を踏まえていないことは当然だ」と切り捨てる。

 もんじゅやプルサーマルだけでなく、使用済み核燃料再処理工場や放射性廃棄物処分の行方など、いまだ全体像が不透明な核燃料サイクルに対する国民の理解、議論が深まったともいえない。

 国民合意がどの程度達成されたかを測るバロメーターはないと来馬氏はいう。「合意がないまま進めるから、立地地域は大きなトラブルの元を抱えることになる。国が責任を持って前面に出て、広く理解を得ることを続けるしかない」と指摘する。(第1部おわり)


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