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「フクシマ」壊されていく風景 土田ヒロミさんが写真集

  • 2018年3月21日
  • 12:35
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「解決不可能なものを抱えた、不安定な時代を生きていることを見た人に自覚してほしい」と語る土田ヒロミさん=福井県あわら市の金津創作の森
「解決不可能なものを抱えた、不安定な時代を生きていることを見た人に自覚してほしい」と語る土田ヒロミさん=福井県あわら市の金津創作の森

 一見、どこにでもありふれた美しい里山の風景写真。しかしそこに人の姿はなく、やがて風景そのものも全く違った姿へと変容していく―。福井県南越前町出身の写真家、土田ヒロミさん(78)が、東京電力福島第1原発事故による汚染地域を、約7年にわたる定点観測で捉えた写真集「フクシマ 2011―2017」(みすず書房)を刊行した。「不可逆的なことが今まさに福島で起きている。これだけしつこくやることで、見えてくるものがある」と作品に込めた思いを語る。

 目に見えない放射能とどう向き合うか。答えの出せないまま2011年6月、福島県の川内村や飯舘村などを訪れ、目にとまった景色に直感的にレンズを向けた。以来、120回にわたって福島県へ通い、定期的に同じ場所を撮影し続けてきた。

 四季は移り変わる。けれども、そこに人はいない。「人間と自然の乖離」をテーマに据えるつもりだったが、13年ごろから景色が一変する。美しかった桜の下に積み上がった除染土の入った黒い「フレコンバッグ」、除染のために根こそぎ刈り取られたミズバショウ…。「美しい風景だけを撮っている場合じゃなくなっていった」

 写真集は約330地点、約5万カットの中から厳選した190点を掲載。日付、撮影地点の住所、座標とともに、淡々と写し出されるもえぎ色の反射が美しい水田や色づいた山々の秋景、主のいない家屋などの定点観測の画面に、図らずも出現した「人間の仕業」によって、自然と人間の共生のみならず、風景そのものまでもが壊されていく様子が記録されている。

 7年間の定点観測を経て、はっきりしたことがある。それは「放射能汚染という経験したことのない問題に対して、私たちが無力だ」ということ。そして福島の問題は、原発が集中立地し「原発銀座」とも呼ばれる福井の人にとっても無関係ではない。「同じことが起きる可能性をはらんでいる。自分たちが、先の見えない時代を生きているということを、写真を見ることで考えてもらえたら」

 発刊を記念し4月5日から18日まで、大阪市北区の大阪ニコンサロンで写真展を開く。写真集はA4変型判、196ページ、1万2960円。


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