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ふげんの末路に思い複雑 もんじゅとプルサーマル(5)

  • 2010年2月16日
  • 11:53
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2003年に運転を停止した「ふげん」の中央制御室。スイッチや計器類は緑色のテープで封印されている=福井県敦賀市明神町
2003年に運転を停止した「ふげん」の中央制御室。スイッチや計器類は緑色のテープで封印されている=福井県敦賀市明神町

連載「動き出す2つの環 もんじゅとプルサーマル 第1部・主役と代役 (4)ふげんの教訓」

 四半世紀の運転で燃やしたウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)は単一炉として世界最多の772体。新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市)の実績だ。1988年にはふげんから出た使用済み核燃料を再処理したプルトニウムを再びMOX燃料として装荷し、核燃料サイクルの環を完結させた。

 しかし、国は95年、高速増殖炉確立までの“中継ぎ役”とされた新型転換炉の実用化を放棄し、原型炉のふげんも2003年に運転を停止した。

 現在の名称は「原子炉廃止措置研究開発センター」。運転の歴史を刻んだ中央制御室を訪ねると、ずらりと並ぶスイッチや計器類の約9割は「操作不能」を示すテープで封印されていた。発電プラントとしての役割は終え、今は廃炉研究の舞台となっている。

 「技術者としては不本意という気持ちがある」と日本原子力研究開発機構同センターの磯村和利技術主幹。核燃料サイクルの先駆となるはずが一転、廃炉となったことに対し、いまだに納得できない、複雑な思いをぬぐえないでいる。

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 新型転換炉は高速増殖炉と軽水炉の中間的な性格の原発だ。66年、原子力委員会が国内で自主開発する方針を決定。ふげんは設計から建設まで純国産技術を使う国家プロジェクトとして開発された。初装荷されるMOX燃料を手袋越しになで「頑張れよ」と炉心に送り出したことを、当時運転員だった同センターの野田正男所長は今も鮮明に覚えている。

 78年、初臨界に到達。88年、ふげんを軸とした核燃料サイクルの完結に、運転員たちは国策に携わる手応えを感じ、「技術者としての自信と誇りに満ちていた」(野田所長)。

 95年、原子力委は新型転換炉の実用化中止を決めた。軽水炉に比べて建設コストがかさむことから、電気事業連合会が実証炉建設計画の見直しを求めたためだ。電源開発が青森県大間町で計画していた実証炉の建設費は約6千億円。軽水炉に比べると、1・5~2倍に相当した。

 それ以上に大きな要因は、軽水炉でプルトニウムを燃やすプルサーマルに道筋が付いた点だ。86年から91年にかけ、敦賀1号機、美浜1号機ではそれぞれMOX燃料の照射試験が実施された。94年改定の原子力開発利用長期計画ではプルサーマルの実用化を明記。新型転換炉の存在意義は薄れた。

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 ふげんは「日本の原子力政策を映す鏡」とも形容された。国策として開発されたものの、政策上の位置づけが揺れ動き、経済性が追い打ちをかけて新型転換炉は実用化への道を閉ざされた。

 03年3月に運転停止するまでの24年間、ふげんの設備利用率は約62%。開発段階の原型炉としては悪くない数字を残し、核燃料サイクルの一端を実証しながら、途中で廃炉に追い込まれた。

 実証炉の計画が具体化せず、実用化の目標がはるかに遠い点では、もんじゅや高速増殖炉の置かれている現状も似通っている。

 もんじゅには建設費や維持管理費を含め約9千億円が投じられ、停止中の維持管理費だけでも約2300億円-。昨年11月、政府の行政刷新会議の事業仕分けで、財務省は「何ら研究成果も上がっていないのに毎年莫大(ばくだい)な経費を要している」と問題提起し、必要性を検証する必要があると指摘した。

 それでも野田所長はこう強調する。「原子力発電の発想は、軽水炉よりもそもそも高速増殖炉から始まった。高速増殖炉は核燃料サイクルの本命であり、将来もぶれることはない」

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 原発の使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを取り出して再び使う核燃料サイクル。国が原子力政策の根幹と位置付ける「二つの環(わ)」が、福井県内で大きく動きだそうとしている。一つは高速増殖炉(FBR)を軸としたサイクル。原型炉「もんじゅ」(敦賀市)が2010年3月までの運転再開を目指す。もう一つは軽水炉で燃やすプルサーマル。関西電力高浜原発で10月にも燃料装荷の見通しだ。ともに事故や不祥事で、10年以上の長き中断を余儀なくされた。その間、県民、国民の理解は一進一退を繰り返し、厳しい目が向けられる中、再出発が迫っている。


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