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プルトニウム利用に国際社会厳しく もんじゅとプルサーマル(4)

  • 2010年2月13日
  • 11:40
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検査データに不正があったMOX燃料を英国に返還するため、輸送容器に収納する作業。IAEAの査察官も立ち合った=2002年6月、福井県高浜町の関電高浜原発
検査データに不正があったMOX燃料を英国に返還するため、輸送容器に収納する作業。IAEAの査察官も立ち合った=2002年6月、福井県高浜町の関電高浜原発

連載「動き出す2つの環 もんじゅとプルサーマル 第1部・主役と代役 (3)プルサーマル利用と核不拡散」

 プルトニウムは8キロあれば核兵器ができるといわれる。核燃料サイクルでは、原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出すが、その取り扱いや使途には国際社会の厳しい目が向けられる。

 電気事業連合会のまとめでは昨年6月末時点で、関西電力や日本原電など電力10社は約28・2トンのプルトニウムを国内外に保有する。日本原子力研究開発機構も約3・6トン(今年3月末見込み)を持っており、合計で約31・8トン。保有量の公表を始めた2005年度の計約29・9トンから約1・9トン増えた。「余剰を持たない」という国際公約を掲げる日本は、すべてを原発で使う必要がある。

 「一般論でいえば、ウラン濃縮や再処理など極めて高度な技術を持つ国や技術者は少ない方が、核不拡散の観点からは望ましい」と話すのは、外務省不拡散・科学原子力課の小泉勉課長。日本は、核兵器の非保有国で再処理を許されている数少ない国の一つだ。

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 高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)などの核燃料サイクル関連施設は、国際原子力機関(IAEA)の厳重な監視下に置かれている。

 もんじゅは、IAEAの査察官から不定期で少なくとも年5回の立ち入り査察を受け、プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料(MOX燃料)を取り扱う原子炉格納容器や燃料貯蔵設備などの移送経路に多数の監視カメラや放射線モニターが設置され、映像や放射線データなどは遠隔地から監視できる仕組みだ。

 高浜原発でも、プルサーマルが実施されれば、IAEAの査察頻度が増え、MOX燃料が入るプールなどで監視カメラが追加される。核物質防護が第一の目的だが「(諸外国から)痛くもない腹を探られないためにも必要」(小泉課長)という。

 電事連は、使用済み核燃料再処理工場から出るプルトニウムの利用計画を毎年度公表している。「核兵器ではなく、プルサーマルやもんじゅなど、ちゃんと行き先があることを明示する」(関電)のが最大の目的だ。

 だが、もんじゅは1995年から長期停止し、軽水炉で燃やすプルサーマルも、電事連が2010年度に16~18基としていた導入目標が、15年度に先送りされた。小泉課長は「現実問題として、MOX燃料の製造が先行し、使う側面が遅れに遅れを重ねている」と現状に危機感を示す。

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 ウラン資源は、生産、濃縮加工、再処理と工程ごとに燃料の関係国籍が多重化する。高浜原発のプルサーマル計画で使うMOX燃料のように海外で再処理した場合には、3重、4重の国籍となることも珍しくない。軍事転用を防ぐため、その時点の燃料の所有者は、形状の変更や場所の移動などを関係国に知らせる義務を負う。

 MOX燃料の輸送に当たっても、輸送ルートの沿岸国を含めた交渉が必要。輸送ルートや時期も極秘で、輸送船は厳戒警備となる。関電原子力事業本部の高杉政博副事業本部長は「テロなどが起これば、交渉は非常に難しくなる。国際情勢に左右される面もある」と語る。

 IAEAの内部には、核不拡散の観点から、再処理などの核燃料サイクルを国際的な管理下でやるべきだとする意見があり、議論が進められている最中だ。

 IAEAの天野之弥事務局長は、就任直前の昨年10月に福井市で講演した際、「日本は長年にわたってIAEAの保障措置を完全に受け入れた上で、原子力の平和利用を行っている。今後の途上国への援助を行う上でモデルになる」と強調した。技術協力など日本の貢献が期待される一方で、公約通りに核燃料サイクルを進められるかも問われている。

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 原発の使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを取り出して再び使う核燃料サイクル。国が原子力政策の根幹と位置付ける「二つの環(わ)」が、福井県内で大きく動きだそうとしている。一つは高速増殖炉(FBR)を軸としたサイクル。原型炉「もんじゅ」(敦賀市)が2010年3月までの運転再開を目指す。もう一つは軽水炉で燃やすプルサーマル。関西電力高浜原発で10月にも燃料装荷の見通しだ。ともに事故や不祥事で、10年以上の長き中断を余儀なくされた。その間、県民、国民の理解は一進一退を繰り返し、厳しい目が向けられる中、再出発が迫っている。


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