
東京電力福島第1原発事故による避難指示が2014年4月以降に解除された福島県の9市町村で、解除地域に住民票がある計約4万9千人のうち、実際に居住しているのは14・8%の計約7300人にとどまることが11日、各市町村への取材で分かった。事故から7年近くが経過し仕事や教育などの事情から、避難先で定住する人が増えているためとみられる。
各市町村は住民が戻ってくるよう生活環境の整備に努めているが、厳しい現実が浮き彫りになった。国や県も含め、より被災者のニーズをくみ取った復興支援が必要と言えそうだ。
居住者数は昨年12月末から今年1月時点のもので、避難先から戻った人に加え、原発や復興関係の作業員などの新たな転入者を含む。避難指示解除の時期が早いほど居住率が高い傾向があり、最も早い14年4月に解除された田村市は78・7%に回復。同年10月から段階的に解除された川内村は28・9%となった。
15〜16年に解除され昨年4月に地元で学校を再開した南相馬市と楢葉町は約30%まで回復した。事故前と比べ児童・生徒数は大きく減っているが、一定数は保護者とともに避難先から帰還したためだ。
一方、解除の時期が遅いと居住率が伸び悩む傾向だ。昨年春に解除された浪江町は3・2%、富岡町は4・2%、飯舘村は10・6%にとどまる。川俣町は例外で29・1%。「中心部が避難区域とならず、町内の仮設住宅などに避難した人が帰還しやすい」(町担当者)という背景がある。
今年4月には浪江町、富岡町、川俣町、飯舘村、葛尾村の解除区域でも学校が再開する。