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核燃料サイクル事実上の棚上げに 原発の行方・第4章(3)

  • 2012年8月23日
  • 05:00
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全国の原発から搬入された使用済み燃料が保管されている日本原燃再処理工場の燃料プール=2012年4月、青森県六ケ所村
全国の原発から搬入された使用済み燃料が保管されている日本原燃再処理工場の燃料プール=2012年4月、青森県六ケ所村

 「使用済み核燃料に関する議論が全くない。エネルギー政策の決定は延期するべきだ」。民主党内でバックエンド(後処理)問題の勉強会を主宰する馬淵澄夫元国土交通相は7月、福井市で開かれた党福井県連の会合で講演し、政府の対応をこう批判した。

 2030年の原発比率について政府が示した三つの選択肢では、原発比率0%の場合は使用済み核燃料を地中に廃棄する「直接処分」に転換すると明記。しかし、15%と20〜25%の2案では「再処理も直接処分もありうる」とあいまいな表現になっている。

 エネルギー政策見直しと連関して原子力委員会は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する核燃料サイクルの在り方を技術検討小委員会で再整理。6月にまとめた報告では、全量再処理だけでなく、全量直接処分、再処理と直接処分の併存を加えた三つの選択肢を挙げた。

 原子力委員会の鈴木達治郎委員長代理は「将来の不確実性に対応できる柔軟さ」を強調する。

 ただ、エネルギー政策をめぐる「国民的議論」では選択肢ごとの具体的な将来像を示さず、事実上棚上げされた形だ。

  ■  ■  ■

 本来、原発の今後の在り方と、発生する「核のごみ」の後処理は表裏一体の問題。エネルギー政策をめぐる意見聴取会でも、当然のように使用済み核燃料に対する意見が相次いだ。

 大阪会場では、20〜25%案支持の兵庫県の自営業男性が「原発をゼロにすると、依存度を下げるだけでは起きない問題が出てくる」と発言。使用済み核燃料の処理技術が停滞しかねないと訴えた。

 これに対し、0%案支持の神戸市の会社員男性は「再処理技術にお金をつぎ込む必要があるのか疑問。核のごみは処理できない。結局、どこかに最終処分して監視、管理していくことになるのではないか」と反論した。

 取材に対し「核のごみはたまる一方。捨て場所が決まらないのに原発を進められるのか」と語ったのは兵庫県の会社員広瀬忠典さん(37)。議論を先送りした政府への不満をあらわにした。

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 福井県の西川一誠知事は4月、停止中の原発の再稼働を国から要請された際、長らく立地が決まらない使用済み核燃料の中間貯蔵施設について電力消費地の協力を求めた。

 関西の首長も理解は示した。奈良県はすぐに関西電力美浜原発に職員を送り、貯蔵方法を調べたが「(陸送が難しく)海に面していない奈良は適地ではない」(荒井正吾知事)と検討を断念。その後、関西の自治体で具体的な進展はない。

 核燃料サイクルの中核施設として建設された青森県六ケ所村の再処理工場は、本格稼働が何度も延期される一方、全国の原発からは多くの使用済み核燃料を受け入れてきた。それでもなお各原発の貯蔵プールは飽和状態に近く、中間貯蔵施設を設置できなければ、原発の運転は滞る。

 全量再処理から転換する場合にも、どこかに最終処分地を求めるという極めて厳しい課題が待っている。

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 核燃料サイクルの転換は、原型炉もんじゅ(敦賀市)を含めた高速増殖炉開発の行方も大きく左右する。文部科学省は、実用化を目指す従来路線維持から開発中止まで四つの選択肢を示している。

 核燃料サイクルの選択肢をめぐり原子力委は「将来の政策変更に対応できるような備えを進めることが重要」と強調する。そして、政策変更する場合、立地自治体との信頼関係を崩さないような対話、対策が必要とまで言及している。


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