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高速増殖炉の空白と現実 もんじゅとプルサーマル(3)

  • 2010年2月11日
  • 11:34
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核燃料サイクルのイメージ図
核燃料サイクルのイメージ図

連載「動き出す2つの環 もんじゅとプルサーマル 第1部・主役と代役 (2)増殖か燃焼か」

 軽水炉で燃えるウラン235は、天然ウランに0・7%しか含まれていない。残りの99・3%は燃えないウラン238。軽水炉の燃料では天然ウランを濃縮してウラン235の含有率を3~5%に高めて使用している。資源のごくわずかしか利用できていない形だ。

 一方で、天然ウランは今後100年程度で枯渇するとの試算もある。ましてや、中国などが原発導入の拡大を目指し、獲得競争の激化は必至。そこで資源の乏しい日本の選択した道が、軽水炉の使用済み核燃料を再処理して、使えるプルトニウムやウランを再利用する核燃料サイクルだ。

 「商業ベースで、まずできることがプルサーマル。高速増殖炉は実用化にもっていくための技術開発を行う。じっとしているだけでは道が開けない」と経済産業省資源エネルギー庁原子力立地・核燃料サイクル産業課の森本英雄課長は語る。

 ただ、高速増殖炉とプルサーマルという二つのサイクルのはざまで、夢と現実が交錯する。

  ■  ■  ■

 「ウランをしっかり使い切るという意味では、高速増殖炉の体系に移らないと目的は達成できない。実用化までのつなぎとして、プルサーマルの位置付けがある」。日本原子力研究開発機構の向和夫もんじゅ所長は、核燃料サイクルの本命はあくまで高速増殖炉と強調する。

 プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料(MOX燃料)を燃やすだけのプルサーマルでウラン資源の利用効率は、通常に比べ1~2割よくなる程度。高速増殖炉では、ウラン238を燃えるプルトニウム239に効率よく変換できるため、利用効率は数十倍に跳ね上がる。「使った以上の燃料を生みだす」夢の原子炉といわれるゆえんだ。

 だが、その開発は原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故による長期停止で中断し、続く実証炉の計画も宙に浮いた。

 将来、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)がフル稼働すれば年間6・5トン程度のプルトニウムが発生する。核兵器にもなりうるプルトニウムの余剰を持たないことは国際公約。消費先として急浮上したのが、プルサーマルだった。

 関西電力原子力事業本部の高杉政博副事業本部長は「つなぎというとイメージは悪いが、段階的に技術開発するということ。まずプルサーマルを行い、最終的には高速増殖炉で資源を有効利用することが、日本として一番いい」と話す。

 原子力政策大綱でうたわれた2050年ごろの高速増殖炉の実用化が実現した場合でも、今後40年間程度はプルサーマルでプルトニウムを消費する必要がある。その後、軽水炉が高速増殖炉に置き換わるにしても長期間かかる。「プルサーマルは当分続く。フランス並みにとはいわないが、やる意義は大きい」と高杉氏は述べ、単なる中継ぎではないとのスタンスだ。

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 高速増殖炉の実用化には懐疑的な声がある。九州大比較社会文化研究院の吉岡斉教授(科学史)は、再処理路線に反対の立場を前提に「高速増殖炉は実用化しないと思うが、万が一実用化するとしても、プルトニウム消費に役立つのは数十年後。有意な役割を果たし得るのはプルサーマルだけだ」とする。

 プルサーマルに対する目も厳しい。原発反対県民会議の小木曽美和子事務局長は「プルサーマルでわざわざ高いMOX燃料を使うのは、経済的に長くは続けられない」とした上で、「もともと主たる政策ではなく、一時しのぎにすぎない」と批判する。コストの点から核燃料サイクルに反対する意見は、原発推進派の中にもある。

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 原発の使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを取り出して再び使う核燃料サイクル。国が原子力政策の根幹と位置付ける「二つの環(わ)」が、福井県内で大きく動きだそうとしている。一つは高速増殖炉(FBR)を軸としたサイクル。原型炉「もんじゅ」(敦賀市)が2010年3月までの運転再開を目指す。もう一つは軽水炉で燃やすプルサーマル。関西電力高浜原発で10月にも燃料装荷の見通しだ。ともに事故や不祥事で、10年以上の長き中断を余儀なくされた。その間、県民、国民の理解は一進一退を繰り返し、厳しい目が向けられる中、再出発が迫っている。


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