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「夢の原子炉」誤算続き目標先送り もんじゅとプルサーマル(2)

  • 2010年2月10日
  • 11:17
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もんじゅとプルサーマル計画の主な経緯
もんじゅとプルサーマル計画の主な経緯

 連載「動き出す2つの環 もんじゅとプルサーマル 第1部・主役と代役 (1)の続編 再スタート」

 燃やした以上のプルトニウムを生む「夢の原子炉」と呼ばれる高速増殖炉(FBR)の開発は、核燃料サイクルの最終目標とされた。しかし、もんじゅのナトリウム漏れ事故で中断を余儀なくされた。

 空白はなぜここまで長くなったのか。日本原子力研究開発機構高速増殖炉研究開発センターの向和夫所長は「技術的にいえば、2次系のナトリウム漏えいで原子炉の安全性に直接の影響はなかった。ただ、プラントでの漏えいは国内で初めて。事故の処理や対応が大変な状態になった」と話す。別の原子力機構幹部は「軽水炉に比べればFBRは経験不足。今から思えば、机上の検討が細かすぎる点や逆に粗すぎる部分がいろいろあった」とも漏らす。

 原型炉での事故は後続の計画に影を落とした。その間にサイクル政策を取り巻く状況も大きく変わった。

 1994年改定の原子力開発利用長期計画(長計)では「2030年」と示されていた実用化の目標時期が、00年改定では記述が消えた。長計にかわり05年策定された原子力政策大綱では、記述こそ復活したものの「50年ごろ」と大幅に後退した。

 実用化の先送りについて向氏は「FBRの研究開発は何十年という単位で進むもの。事故の影響だけで遅れたどうかは判断しにくい」と言葉を選ぶ。ただ、順調に運転していれば十分実績を蓄積し、得られた知見が実証炉につなげられたのでは―との無念さも胸の内にはある。

  ■  ■  ■

 「エネルギーの安定供給にプラスになる原子力の有用性をさらに高める必要がある。廃棄物を減らし環境負荷を低減する観点もある」。核燃料サイクルの意義を経済産業省資源エネルギー庁原子力立地・核燃料サイクル産業課の森本英雄課長はこう強調する。FBR開発には時間がかかり、その間の現実的な策がプルサーマルとされた。

 だが、関西電力は1999年にMOX燃料の検査データねつ造で頓挫。東京電力も02年にトラブル隠しが発覚し、先行してきた2社での導入は大きく遠のいた。

 関電原子力事業本部の高杉政博副事業本部長は「BNFL問題という大きな失敗を経験し、そこからどう立ち直るか、初めてのことだけに、我々も規制側の国も考える時間が必要だった」と振り返る。

 品質保証体制の確立が厳しく問われた関電は03年10月、改善策をまとめた。ようやく計画再開の準備に入った直後の04年8月、今度は美浜3号機の蒸気噴出事故が起こった。作業員11人が死傷する国内原発史上最悪の事故でプルサーマルどころではなくなった。計画を“自主的”に凍結するしかなかった。

  ■  ■  ■

 FBR開発も、プルサーマルも、逃げ水のように目標が先に延びてきた。同じように、核燃料サイクルの中核施設である再処理工場の稼動やMOX燃料工場の計画も、先送りが繰り返されている。

 原発反対県民会議の小木曽美和子事務局長は「FBRがうまくいかず、再処理で出るプルトニウムを消費する場所がないから、仕方なくプルサーマルをやる。言い訳にすぎない。無駄な核燃料サイクルは考え直すべきだ」と厳しい目を向ける。

 昨年11月、九州電力玄海原発(佐賀県)で国内初のプルサーマルが始動し、近く四国電力伊方原発(愛媛県)も実施する。高浜原発で使われるMOX燃料は既に完成し、早ければ春にも再び海を渡ってくるはずだ。秋の装荷をにらみ関電の森詳介社長は1月末の記者会見で「実現が視野に入ったことは感慨深い」と語った。

 ただ、後続の事業者が地元の理解を得るのは容易ではない。電気事業連合会は昨年、2010年度までに16~18基としていた導入目標を15年度に先送りせざるを得なかった。

  ×  ×  ×

 原発の使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを取り出して再び使う核燃料サイクル。国が原子力政策の根幹と位置付ける「二つの環(わ)」が、福井県内で大きく動きだそうとしている。一つは高速増殖炉(FBR)を軸としたサイクル。原型炉「もんじゅ」(敦賀市)が2010年3月までの運転再開を目指す。もう一つは軽水炉で燃やすプルサーマル。関西電力高浜原発で10月にも燃料装荷の見通しだ。ともに事故や不祥事で、10年以上の長き中断を余儀なくされた。その間、県民、国民の理解は一進一退を繰り返し、厳しい目が向けられる中、再出発が迫っている。


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