
関西電力が大飯原発1、2号機の廃炉を決めた。安全対策の難しさに加え、人口の減少や他社との競争激化などで電力需要が伸びず、出力が100万キロワットを超える大型原発でも採算性が見通しづらくなったことが背景にある。関電は残る7基を着実に動かして収益増を目指す方針だ。
関電によると、新たな規制基準に対応するための工事費は、既に再稼働した高浜原発3、4号機を含む7基で計8300億円に上る見通し。大飯1、2号機が加われば総額が1兆円を超すのは確実だ。
大飯1、2号機は原子炉格納容器の構造が特殊で、大がかりな安全対策工事を実施すれば投資額がさらに膨らむ可能性もあった。
関電幹部は「省エネや自家発電の導入が進めば、需要が減って業務用などで電気料金が値崩れする」と話す。訴訟で稼働停止するリスクもあり、社内では「2基の再稼働に巨額のコストを投じても採算が合うのか疑問だ」との声が強まった。
関電の2016年度の販売電力量はピークだった10年度の8割程度にまで落ち込んだ。岩根茂樹社長は22日の会見で「電力の卸販売や関西エリア以外での販売の拡大などを進める」と強調。残る原発7基を活用し、中部や中国を含む西日本エリアでの電力販売を増やす構えだ。