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理解薄い「消費地元」の都市部 原発の行方・第9章(5)

  • 2014年3月8日
  • 15:50
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大飯原発のゲート付近で押し合いになる反対派と警察官。地元住民には戸惑いが広がった=2012年7月1日夜、おおい町大島
大飯原発のゲート付近で押し合いになる反対派と警察官。地元住民には戸惑いが広がった=2012年7月1日夜、おおい町大島

 関西電力大飯原発3号機が再稼働した2012年7月1日、福井県おおい町内には全国から原発反対派が集まった。発電所前では道路や入り口が封鎖され、県警ともみ合いになり排除される場面もあった。

 政府が大飯の再稼働を決めてから、批判は日ごとに増した。「都市部は原発による電力の恩恵を受けてきたはずなのに…」「事故が起これば“加害者”にされかねない」。地元住民には戸惑い、怒り、不安が交錯した。

 県内の反対派すらも「都市部は電力の消費地元としての自覚が薄い」と漏らした。高度経済成長期以降、当たり前のように絶え間なく電力が供給されてきたために、自分たちが使っている電気が何によって、どこでつくられているのかの自覚はなかったといえる。

 大飯の再稼働に限らず、事故やトラブルがあるたび、立地地域は揺さぶられてきた。日本原電敦賀原発などがある福井県敦賀市の河瀬一治市長は、原発比率を下げていく方向性は「致し方ない」と認めるが、一方で産業の発展を下支えしてきた自負もある。原子力産業は「地場産業」として根づいてもいる。代替電源や工程を度外視した性急な脱原発は受け入れがたいのが現実だ。

 原子力政策が「国策民営」で進められてきた象徴の一つが立地地域に対する電源3法交付金制度。批判の的にもされてきた。12年度までに県や関係市町に約3880億円が配られた。

 使い道が制限されていた時代には、必要以上のハコモノが建設されてきた面は否めないが、立地側の思いは「反対運動もあり、原子力のリスクを苦労しながら受け入れてきたことに対する地域振興」という河瀬市長の言葉に集約されている。

 福井県立大地域経済研究所の井上武史講師は「3法交付金は立地地域と電力消費地の利益配分を調整しているが、(両地域の)かい離がないとは言えない」と指摘。消費地の住民は交付金を払っている意識が薄く「お金が人の自覚と一緒に動いていないため、交付金が必ずしも消費地と供給地を結び付けていない」という。

 さまざまな要素が絡み合うエネルギー政策を方向転換するのは、複雑な連立方程式の解を導くような作業だ。「立地地域との関係も含めて国の政策が続いてきた。転換するなら、そのことによる地域への影響を国が正していくことが必要」と井上氏。誘致という形ではなく、地域独自の新しい産業を興し育てていく必要性を説く。原発の老朽化が進む県内の現状からも「産業を育てるには時間がかかる。今の段階で原子力の縮小を見通しておく必要がある」。

 一橋大大学院の橘川武郎教授は、既存の送電線を生かした火力発電へのシフトや、原発の廃炉ビジネスなどを軸に、緩やかに着地していくための“航路”を開拓するよう勧める。


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