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運転差し止め決定要旨 伊方原発3号機で広島高裁

  • 2017年12月14日
  • 07:39
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 四国電力伊方原発3号機の運転を差し止めた13日の広島高裁の決定要旨は次の通り。

 【主文】

 2018年9月30日まで伊方原発3号機を運転してはならない。

 【司法審査の在り方】

 仮処分を申し立てた住民らは、伊方原発から約100キロの広島市、約60キロの松山市に住むなど、放射性物質が放出されるような事故が起きた際、重大な被害を受ける地域に住む者と言える。そのため、被害を受ける具体的危険がないことは、四国電が立証する必要がある。新規制基準に不合理な点がなく、伊方原発が基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に不合理な点がないと示すことで立証できる。

 【火山による危険性以外の争点】

 基準地震動策定や過酷事故対策、テロ対策の合理性など、火山の影響による危険性以外の争点について新規制基準は合理的で、伊方原発が基準に適合するとした規制委の判断も合理的と認められる。

 【火山の影響による危険性】

 原発の立地評価について、規制委が策定した「火山影響評価ガイド」は(1)原発から半径160キロ圏内の活動可能性のある火山が、原発の運用期間中に活動する可能性が十分小さいかどうかを判断(2)十分小さいと判断できない場合、運用期間中に起きる噴火規模を推定(3)推定できない場合、過去最大の噴火規模を想定し、火砕流が原発に到達する可能性が十分小さいかどうかを評価(4)十分小さいと評価できない場合、原発の立地は不適となり、当該敷地に立地することは認められない―と定める。

 伊方原発から約130キロ離れ、活動可能性のある火山である熊本県・阿蘇カルデラは、現在の火山学の知見では、伊方原発の運用期間中に活動可能性が十分に小さいと判断できず、噴火規模を推定することもできない。約9万年前に発生した過去最大の噴火規模を想定すると、四国電が行った伊方原発周辺の地質調査や火砕流シミュレーションでは、火砕流が伊方原発の敷地に到達した可能性が十分小さいと評価できない。立地は不適で、敷地内に原発を立地することは認められない。

 広島地裁決定は、破局的噴火については、原発の運用期間中に発生する可能性が相応の根拠をもって示されない限り、原発の安全性確保の上で、自然災害として想定しなくても、安全性に欠けないと示した。確かに、現在の火山学の知見では、破局的噴火の発生頻度は国内で1万年に1回程度とされ、仮に阿蘇で起きた場合、周辺100キロ程度が火砕流で壊滅状態になり、国土の大半が10センチ以上の火山灰で覆われるなどと予測されているが、そのような災害を想定した法規制はない。発生頻度が著しく小さく、破局的被害をもたらす噴火で生じるリスクは無視できるものとして容認するのが日本の社会通念とも考えられる。しかし、高裁の考える社会通念に関する評価と、火山ガイドの立地評価の方法・考え方の一部に開きがあることを理由に、地裁決定のように、火山ガイドが考慮すべきだと定めた自然災害について、限定解釈をして判断基準の枠組みを変更することは原子炉等規制法と新規制基準の趣旨に反し、許されない。

 火山ガイドが立地評価の次に評価すべきだと定め、火山が原発の運用期間中に影響を及ぼす可能性の評価「影響評価」についても、四国電による阿蘇カルデラの噴火による降下火砕物の想定は過少で、これを前提として算定された大気中濃度の想定も過小だと認められる。

 【結論】

 火山の影響による危険性について伊方原発が新規制基準に適合するとした規制委の判断は不合理で、申立人らの生命、身体に具体的危険があることが事実上推定されるから、申し立ては立証されたといえる。

 伊方原発は現在稼働中であるから、差し止めの必要性も認められる。

 本件は仮処分であり、現在係争中の本訴訟で広島地裁が異なる判断をする可能性を考慮し、運転停止期間は18年9月30日までとする。


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