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再生エネルギーは国民負担増必至 原発の行方・第4章(2)

  • 2012年8月22日
  • 05:00
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2030年のエネルギー構成比率
2030年のエネルギー構成比率

 2030年に原発比率を「0%」「15%」「20〜25%」とする三つのシナリオ。いずれの選択肢も再生可能エネルギーは10年実績の10%から25〜35%へと大幅に拡大させる想定だ。現状では水力を除けば2%にすぎず、10倍前後の伸びが必要になる。

 原発比率0%の場合、再生エネは35%に設定されている。太陽光や風力などを一気に増やせるのか、技術的に疑問視する声も強い。気象条件などに左右されて出力が不安定という問題点もある。

 再生エネをめぐり「総論賛成、各論反対の懸念がある」と1日の講演で語ったのは、地域の視点からエネルギー政策を研究する県立大地域経済研究所の井上武史講師。原発と同じく、風力、太陽光、地熱といった再生エネの発電施設を立地する際も、景観、住環境などへの影響に対する不安が出てくるからだという。

 井上講師は「再生可能エネルギーを推進する側は、国民の理解と意思に期待し、こうした懸念に対してやや楽観的に見える」と指摘する。

 「再生可能エネルギーが基幹電源になりうるのか国は展望を十分に示していない」(西川知事)現状で、電力の安定供給に貢献してきた県内の原発立地自治体には、原発の代替電源になりうるとは映っていない。

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 再生エネの導入を拡大する場合、国民負担が増すという課題もある。7月から始まった固定価格買い取り制度では、買い取り価格を高めに設定して参入を促す一方、買い取り費用は電気料金に上乗せ。結局、コストは消費者の負担となる。

 加えて、再生エネで足りない分は火力発電を増やして補うため、0%案では火力の割合が65%と最も高くなり、その分電力料金にはね返るほか、地球温暖化対策の点でも大きな問題を抱える。

 政府の試算では30年に原発比率0%とした場合、2人以上の世帯の電気代の平均は10年の月額1万円から30年には同1万4千円〜2万1千円に増加する。他の2案でも最大1万8千円に増える計算だ。

 実質国内総生産(GDP)は、成長率を10年代1・1%、20年代0・8%と想定した「自然体ケース」に比べ、0%案では8兆〜45兆円押し下げる。15%案は2兆〜30兆円、20〜25%案は2兆〜28兆円低下すると推計した。

 家庭以上に神経をとがらせるのは企業だ。21日に勝山市内で開かれた県経済界サマースクールで県経団連の川田達男会長は「ただでさえ高い電気料金がさらに高騰する可能性があり、本当に(これまでのように)電力供給できるのかも分からない」と指摘。このままでは産業の空洞化が進み、雇用問題にまで発展すると懸念をあらわにした。

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 7月から全国で開かれた意見聴取会では「原発を動かさなければ貿易赤字が膨らみ、日本は経済成長できない恐れがある」(兵庫県の男性)との指摘がある一方、「自然エネルギーが普及していないことは、逆に言えば、設備や技術の面でまだまだ発展する可能性があるということ」(神戸市の会社員男性)との反論も出た。

 8月5日、さまざまな立場の人が議論、対話する場として東京都内で開かれた「みんなのエネルギー・環境会議」で、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の委員を務める富士通総研の高橋洋主任研究員は、単に電源比率を選ぶのでなく、原発を支えるのか、再生エネを生み出すのかの「システム選択」という考え方が重要と提起。方向性がはっきりしないと進むべき投資も進まないと訴えた。

 昨年再び脱原発へかじを切ったドイツでは、20年に及ぶ議論の積み重ねにより、再生エネ導入に伴う負担増にも一定の国民合意があると識者らは指摘する。

 日本での国民的議論は始まったばかりだ。


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