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国民的合意へ 議論の場が必要 原発の行方・第9章(3)

  • 2014年3月6日
  • 15:37
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将来のエネルギー構成に関する「国民的議論」のため行われた意見聴取会。期待されたほどには議論が深まらなかった=2012年7月22日、大阪市
将来のエネルギー構成に関する「国民的議論」のため行われた意見聴取会。期待されたほどには議論が深まらなかった=2012年7月22日、大阪市

 潜在的リスクが大きい原発をエネルギーとして使うのなら国民的合意の下で進めるのが筋だが、そのために国民的議論を行うような仕組みは日本で生まれなかった。「議論の場」としては、福井県をはじめ原発が集中立地する福島、新潟県による「3県知事提言」を受け、原子力委員会が1996年に原子力政策円卓会議を設けたくらいだ。

 諸外国ではどうなのか。「米国では事業者が原発建設の許認可を得るプロセスの一環として立地地域での議論がある」。昨年10月、東京で開かれた原子力シンポジウムの記者会見で、米原子力規制委員会(NRC)の元委員長首席補佐官ポール・ディックマンさんはこう説明した。50年にわたって続いているという。

 “原発大国”のフランスでは、地方議員を中心に環境保護団体や労働組合、専門家らでつくる「地域情報委員会」を原子力施設ごとに設置することが義務付けられている。国、事業者と立地地域の対話の場にするのが目的だ。

 日本では立地地域に、事業者と自治体が結ぶ安全協定があり、本県の県原子力環境安全管理協議会のように地方議員、首長らで構成する安全協議会を設けているケースもある。しかし「必ずしもフランスのような双方向のコミュニケーションになっていない」(原子力関係者)のが実情で、一般住民にまで議論の広がりはない。

 立地地域以外で理解が深まらないのはなおさらだ。東京電力福島第1原発事故までは、原発反対派を除けば国民のほとんどが原子力政策に無関心でもあった。

 民主党政権は2年前の夏、2030年の原発比率3案を示し全国で意見聴取会を開いたが「国民的議論」というにはほど遠かった。「強い意見を持つ人だけが発言する場」になり、声なき声を拾い上げることはできなかった。

 かつての円卓会議も同様に「強い意見を持っている人たち」の議論だった−と原子力委員会の鈴木達治郎委員長代理はみる。20回を超える討論で推進派と反対派の意見が交わることはなかった。

 関西電力元専務の山?吉秀さん(78)は、原発から受ける便益、事故が起きる確率、被害の大きさなど、さまざまな要素を取り上げた上で方向性を議論すべきと訴える。「安全のレベルがどこまであればいいのか、事前に国民との間で合意しておく必要があった」との反省があるからだ。

 「開かれた意思決定のプロセスや国民参加の仕組みが必要」と鈴木氏。円卓会議も民主党政権下の意見聴取会も問題はあったが「やらないよりはずっと良かった。ああいう仕組みを繰り返していくべきだ」という。

 鈴木氏は一方で、客観的で信頼できる情報を提供できる機関が国内にないことを問題点に挙げる。県内のある電力関係者も「福島事故によって専門家の言うことが信じてもらえなくなっている」と語り、国民が判断のよりどころにできる情報が乏しい現状を危惧(きぐ)する。


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