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スペースバルーン課題一歩ずつ克服 宮古島で打ち上げ、回収に成功

  • 2017年11月9日
  • 09:20
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打ち上げた機体を回収し、喜びに浸るメンバー=沖縄県宮古島市の佐良浜港
打ち上げた機体を回収し、喜びに浸るメンバー=沖縄県宮古島市の佐良浜港

 福井高専生5人と福井新聞の記者3人が挑んだスペースバルーンプロジェクト「ふーせん宇宙船」(鯖江精機、ナカテック特別協力)は10月15日、高度3万メートルから見える地球や宇宙の撮影に成功した。低温、真空、浸水、パラシュート、法律…。立ちはだかった壁は数知れず、実験用の試作機も含めて計15機の機体を製作。約7カ月間、全員で試行錯誤を繰り返してきた末につかんだ成果だった。活動の軌跡と、沖縄県宮古島市での打ち上げ当日の動きを振り返る。

■3月始動 多くの課題 一歩ずつ

 プロジェクトは今年3月にスタートした。宇宙に近い環境に風船やカメラを飛ばすことは、全員にとって未知の世界。まずは「宇宙に近いとはどんな環境か」を調べ、どう工夫すればよいか考えた。自分たちなりの仮説を基に実験や考察を繰り返し、一歩ずつ進んでいった。

 製作で頭を悩ませたのは、低温対策だった。高度3万メートルに達するまでには、最低気温がマイナス80度以下の地点もある。景色をはっきり撮影するにはレンズを露出する必要があり、カメラなどの機材をどう守るか。箱で覆う方法などを検討し、最終的には薄いシート状のヒーターで機器を温める案に行き着いた。ドライアイスで冷やした箱の中に機体を入れる実験で有効性を確認した。

 浸水に関する対策は、誤ったまま進めてしまった。機体は海上に着水させて回収するため、海水から機器を守らなければならない。発泡スチロール製の機体を密閉して浸水を防げば大丈夫と考えていたが、甘かった。助言を受けてきたスペースバルーンの国内第一人者・岩谷圭介さん(31)=北海道=は「必ず浸水します」。厳しいひと言。

 理由は、気圧の低い上空では発泡スチロールが膨張するほか、着水時の衝撃で隙間が生じることがあるからだ。指摘を受けて考え直したが結局、機器を完全に守ることはできなかった。

 さらに、機体が陸上に落ちるなどの事故が起きないよう、安全への配慮も重要だった。岩谷さんの助言を受け、打ち上げ場所に沖縄県宮古島市を選んだ。各種法令を守り、保険にも加入した。

 苦難の連続だったものの、成功できたのは福井高専生の努力が大きかった。

 主な分担は、リーダーの渡辺虎生太さん(機械工学科4年)が機体の設計、製作。廣野晴夏さん(同)は、機体の上昇速度やどのような経路で飛行するかを計算で求めた。小山田瑞季さん(電気電子工学科4年)と山本雄太さん(電子情報工学科4年)は、温湿度や位置情報を記録するマイクロコンピューター(マイコン)の設定。中野拓朗さん(電気電子工学科4年)は機体回収時の連絡に使う無線を猛勉強した。

 記者も学生に負けじと、機体設計の意見を出したり、飛行経路の計算に携わったりした。無線については、ほぼ全員がアマチュア無線技士の資格を取得した。誰一人欠けても、うまくはいかなかっただろう。

 「みんなで計画を立てて取り組んだ経験は、必ず役に立つ」。活動を後押ししてくれた岩谷さんの言葉だ。失敗したとしても、取り組んだ意義は大いにある。最初はそう考えていたが、目標を達成できたのは何にも代えがたい喜びだった。


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