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安全対策は県が主導、責任どこに 原発の行方・第3章(6)

  • 2012年4月21日
  • 05:00
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 枝野幸男経済産業相との14日の会談で、机を挟んで正対した福井県の西川一誠知事は、突然身を乗り出して資料を手渡した。タイトルは「福井県の原子力安全の軌跡」。そして切り出した。「原発立地の福井県に安全神話はない。本県の安全の努力の跡を是非とも理解いただきたい」と。

 こうも続けた。「事業者のどんなミスも見逃さないよう、何十年にわたって神経をとがらせて問題解決に当たってきた。関西一円の安全を守る努力でもあった」

 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働をめぐり関西圏の首長からは「われわれも(原発立地の)地元」との声が上がっている。西川知事の発言は国に対してだけでなく、電力供給の恩恵を受けながら原発のリスクには無自覚でいた消費地への不満が込められていた。

 資料には、1977年に全国で初の原子力安全対策課を設置。軽微な事象でも事業者から報告を求め、県が直接、住民に説明している―などと、国や電力事業者任せではない監視体制を記していた。数多くの事故を経験する中で、福井県の提言により国の安全規制が強化された例も挙げた。

 神妙に聞いていた枝野経産相は「大変厳しく安全について努力を積み重ねていただいていることを再確認、再認識した」と頭を下げた。

  ■  ■  ■

 東京電力福島第1原発事故の直後から、県は原発の安全性確保に抜け落ちている点がないか洗い出し、国や事業者に突き付けた。国は昨年6月、緊急安全対策と過酷事故対策のみで“安全宣言”したことに県幹部は「福島であれだけの事故を起こし、電源車や消防ポンプだけで原発を動かそうという神経が分からない」と憤った。

 県は福島の知見を反映した暫定的な安全基準づくりを求め、他の立地道県も同調した。しかし、国は一向に応えず、経産省には「福井県が何を求めているか分からない」との“反発”もあったほど。実際、国が「動かしやすい」とまず狙いを定めたのは九州電力玄海原発2、3号機(佐賀県)の方だった。

 結局、さまざまな曲折の末、再稼働を認めるかどうか、地元が判断するという役回りは福井県に回ってきた。政府も暫定的な安全基準を示すしかなかった。

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 福井県には(1)安全の確保(2)地域住民の理解と同意(3)地域の恒久的福祉の実現―という原子力行政の3原則がある。

 安全確保は大前提だ。しかし、地域振興も無視し得ない要素の一つ。原発の停止が長引き嶺南の地域経済が悪化する中、いたずらに再稼働判断を引き延ばす選択肢はなく、国への働き掛けを含め県は安全性を確認するための土台を主導的に整えてきた。

 一方で、「地元」という範囲が従来の概念ではとらえきれなくなっているのも事実だ。

 「広げるほど責任があいまいになる」と指摘するのは野瀬豊高浜町長。一橋大大学院の橘川武郎教授(エネルギー産業論)は「福井県は本当の“地元”。歴史的にもスタッフをみても頭が抜けている」と話す。とはいえ、再稼働判断への関与を求める隣府県の声も強い。

 一律的な線引きは困難で、広域的な調整の仕組みもない。前例のない状況下で、最終的な方向性を示し、決定する責任はどこにあるのだろうか。(「第3章」おわり)


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