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福島第1遮水壁全面凍結へ巨額投入 汚染水対策、規制委は異論

  • 2017年8月23日
  • 11:40
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福島第1原発の凍土遮水壁の状況
福島第1原発の凍土遮水壁の状況

 東京電力は22日、福島第1原発の地中に氷の壁を築く「凍土遮水壁」で、最後の未凍結部分の凍結を始めた。増え続ける汚染水問題の抜本策として約350億円もの国費が投じられた一大プロジェクトだが、原子力規制委員会は当初から効果を疑問視。維持費などに年間十数億円かかり、費用対効果も見通せない。

 ▽アピール

 「開放確認」。防護服を着た作業員らが11カ所のバルブを次々と開けていく。建屋西側に残る約7メートルの未凍結部分の配管に冷却材が導かれた。2016年3月末の凍結開始から約1年5カ月が経過していた。

 凍土壁は1〜4号機を取り囲むように埋めた1500本余りの配管に冷却材を循環させて地盤を凍らせ、全長約1・5キロ、深さ約30メートルの壁を築く。放射性物質で汚染された建屋への地下水流入を防ぎ、新たな汚染水の発生を抑える狙いだ。

 導入決定は13年5月。同4月に敷地内の地下貯水槽にためていた高濃度汚染水が漏れ、同5月には護岸で基準を超える放射性物質が検出されるなど汚染水問題が顕在化。東京が開催地に立候補した20年夏季五輪の招致合戦が大詰めの時期で、政府が汚染水問題に本腰を入れていることを海外にアピールする狙いがあったとの見方もある。

 ▽懐疑的

 政府の汚染水処理対策委員会は粘土方式の遮水壁なども検討した上で「施工が容易で、遮水性が高い」として凍土壁を採用し、当時の茂木敏充経済産業相が東電に設置を指示。「非常にチャレンジングなもの。政府も一歩前に出る」(茂木氏)と、建設費は国が全額負担することになった。

 一方、規制委は凍土壁に懐疑的な姿勢で一貫している。昨年10月の廃炉作業に関する会合で、更田豊志委員は「凍土壁の効果に期待しないものとして汚染水対策をとってもらう。言い過ぎかもしれないが、凍土壁に効果が出ているかどうかに、ほとんど関心を持っていない」と突き放した。

 規制委が対策の主役と位置付けるのは、建屋近くの井戸「サブドレン」だ。第1原発では事故前から、建屋周辺の地下水位制御のためにサブドレンを活用しており、これを復旧、強化させるべきだとの考えだ。

 ▽効果示せず

 規制委は、凍土壁が建屋周辺の地下水位を過度に下げて、建屋から汚染水を漏えいさせる恐れがあるとも指摘。東電の水位制御策について慎重に確認し、段階的な凍結を経て、今月15日にようやく全面凍結にゴーサインを出した。

 これまでの間、サブドレンのほか、地下水を高台の井戸でくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」も導入され、建屋への地下水流入量は当初の1日当たり約400トンから今年6月には約140トンまで減った。東電は今後、100トン以下を目指すとしているが、凍土壁がどれだけ寄与するか示せずにいる。

 当初は凍土壁の完成後、6年間で建屋地下の汚染水を抜き取り、凍土を解凍するとしていたが、計画はうやむやになり、壁をいつまで維持するのか「着地点」も決まっていない。東電は電気代や維持管理費に年間十数億円を負担し続ける。

■福島第1原発の汚染水対策

 1〜3号機で炉心溶融(メルトダウン)した核燃料の冷却に使った水が、高濃度汚染水となって原子炉建屋などの地下にたまり、さらに建屋に流れ込む地下水が汚染水を増やしている。東京電力は、地下水の流入を防ぐために主に三つの対策を実施。建屋西の山側の井戸で地下水をくみ上げ海に流す「地下水バイパス」と、建屋近くの井戸でくみ上げる「サブドレン」は既に実施中。1〜4号機の周囲の地盤を凍らせる「凍土遮水壁」も未凍結部分以外は稼働している。当初の地下水流入量は1日当たり400トンだったが、東電はこれらの対策で100トン程度に減らしたい考え。


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