
南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題で引責辞任した稲田朋美前防衛相(衆院福井1区)の離任式が31日、防衛省で行われた。稲田氏は同省・自衛隊の幹部ら約600人を前にあいさつし、「風通しのよい組織文化を醸成し、一層の連携強化を図り、一致団結していかなる困難な状況にも対応できるようにしてほしい。心からそう願っている」と述べた。
昨年8月から約1年間、防衛相を務めた稲田氏は、全国の自衛隊員らに感謝の意を伝えた上で、「わが国の安全保障・防衛施策を前に進めるため、複雑で混沌(こんとん)とした状況の中で、あるべき答えを見いだそうと格闘する日々だった」と振り返った。
日報問題については「情報公開への対応が不適切だった。防衛省、自衛隊に対する国民の信頼を揺るがし、隊員の士気を低下させかねない点で極めて重大かつ深刻だった」と指摘。「危機感を持って再発防止策をしっかり実施しなければならない」と訴えた。
世界17カ国の国防大臣と会談し協力関係を深めることができ、さらに南スーダンPKO活動で成果を挙げられたことなども紹介した。あいさつの最後に「今後とも一国会議員として皆さんの活動を応援し、防衛施策を前に進めるためのサポートをさせていただきたい」と述べた。
稲田氏は離任式に先立ち、自衛隊殉職者の慰霊碑に献花した。離任式後は、儀仗(ぎじょう)隊による「栄誉礼」と大勢の職員らの拍手に見送られ、防衛省を後にした。