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もんじゅ後、政府描けるか 「研究の中核」実現には壁

  • 2017年6月8日
  • 08:45
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もんじゅ関連協議会を終え、記者の質問に答える福井県の西川一誠知事=7日午前、首相官邸
もんじゅ関連協議会を終え、記者の質問に答える福井県の西川一誠知事=7日午前、首相官邸

 高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉容認後に待ち受けるのは地元振興の展望を描く戦略の構築だ。県のエネルギー研究開発拠点化の中核だったもんじゅがなくなっても、国は敦賀市が原子力研究、人材育成の中核であり続けるとして検討の加速を約束した。ただ、具体策の協議はこれからで、地元でも求めるものが集約しきれていない。廃炉のみが先行する中、「もんじゅ後」の描き方が今後の福井県の姿を大きく左右する。

 ■本丸は新たな拠点化

 県が当初「最大の懸案」とした廃炉体制に関しては、3月に政府が原案を示し、4月末に再回答、5月の再々回答で容認に至った。ただ5月の大型連休以降、中核に位置付けられたのは「新たな拠点化」だった。

 交渉の結果、拠点化は「2018年度中に具体化」、核になるもんじゅ敷地内の試験研究炉に関しては「5年後には詳細設計」というところまで、政府の回答を引き出した。研究用原子炉は詳細設計を完了し、規制委の審査をパスするのに5年程度掛かると専門家はみる。着工は早ければ10年後ということになる。

 しかし、もんじゅの敷地内に新たな施設を確保する余裕はなく、一部施設の解体や背後の山を大きく削るなどの対応が必要とみられる。燃料取り出しだけで5年半掛かる廃炉作業と並行し、敷地の確保ができるかは不透明だ。

 そもそも新たな研究炉設置は、文部科学省の作業部会が全国規模の検討を進めている段階だ。部会メンバーの中島健・京都大原子炉実験所教授は「5月の会合で突然敦賀の話が出てきたことに疑問を呈した人もいた」と明かす。

 ■統一感ない地元要望

 拠点化とは別の地域振興ももんじゅ後を左右する大きな要素だが、肝心の地元要望に統一感がない。

 西川知事は5月、松野博一文科相に「大学誘致やLNG(液化天然ガス)インフラ整備、地域振興の交付金を」と迫った。これに対して敦賀市は早くから、周辺5市町との広域経済圏を目指すハーモニアスポリス構想を提唱。同市の経済界はまず短期的な経済対策を求めている。双方から声が上がる中、関係者の一人は「国は何をどう手当てすべきか測りかねているようだ」と明かし、要望の“交通整理”の必要性を指摘している。

 実現性にも問題が山積している。大学誘致は試験研究炉と関連する大学が現実的だが、中島教授は「個人的見解」とした上で「(現在研究所がある)大阪府熊取町には、研究炉廃炉後も一定の機能は残す方針。全部移転は難しいのでは」とみる。

 LNGに関しても京都府が誘致活動を展開しており、争奪戦となる可能性もある。採算性も悪く、ガス会社が事業に参入するかは不透明だ。

 ■机上の高速炉開発拠点

 さらに見通せないのが、もんじゅ後も敦賀に残すとされる高速炉開発拠点機能だ。政府が18年をめどに開発方針を出す考えを示してから、全く議論が進んでいない。加えて地元には「そもそももんじゅで失敗したものを、再び敦賀でやる必要はあるのか」と反発する向きも少なくない。

 西川知事は7日、記者団に「事柄上、すぐに全て決まるわけではなく、ようやく(もんじゅを)廃止措置に移行しようとする段階」と述べ、議論はまだ先との認識を示した。渕上隆信敦賀市長は「今後の拠点化が高速炉開発かどうかの話は今回示されていない。そうではない方向に行く可能性もある」と、今後の議論の行方を注視する構えだ。

 ■高速増殖原型炉もんじゅ プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使い、発電しながら消費した以上のプルトニウムを生み出す炉。出力は28万キロワット。高速炉の実用化までの4段階のうち2段階目に位置付けていた。1994年に初臨界。95年のナトリウム漏えい事故や2010年の炉内中継装置落下事故などのトラブルが続き、1兆円を超える国費を投じたが運転したのは250日だった。


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