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原発の遠隔解体、技術を蓄積 廃炉先進地・東海原発ルポ(上)

  • 2015年8月4日
  • 20:00
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撤去作業を進めている大型構造物の熱交換器。原子炉解体をにらみ、遠隔操作による工法で取り組んでいる=7月、茨城県東海村の日本原電東海原発
撤去作業を進めている大型構造物の熱交換器。原子炉解体をにらみ、遠隔操作による工法で取り組んでいる=7月、茨城県東海村の日本原電東海原発

 商業用原発で国内初の廃炉作業が進む日本原電東海原発(茨城県東海村)。作業開始から約14年がたち、今は放射性物質に汚染された大型設備を遠隔操作で切断する技術を開発しながら、解体に取り組んでいる。原電は「蓄積したノウハウを他の電力会社に提案できる」と意気込む。原電敦賀1号機など本県の古い3基の廃炉が決まった中、先進地の現状を2015年7月末に取材した。

 敷地内に入ると、所々黒ずんだ灰色のコンクリートに覆われた東海原発が現れた。外観は運転当時とほぼ変わらないが、2001年に廃炉作業が始まり、使用済み核燃料は既に運び出して英国に再処理を委託。タービン建屋は発電機やタービンが撤去され、内部は“がらんどう”だ。

 現在は原子炉領域以外の設備や構造物の解体が進んでいる。建屋内の空調は止められており、やや蒸し暑い。「壊すものに余分な電気は使わない」と担当者。照明や放射線管理の設備など最低限のものしか使用していない。

 廃炉作業に当たる作業員は1日100~200人程度。運転中の千人規模に比べ激減した。茨城県によると、原電が“直営”で作業を行っている部分が多く、地元企業の参入はあまりないという。

 廃炉ビジネスの地元参入を促す政策も特になく、地元の東海村は「基本的に村には多様な産業があり、原発の廃炉作業に地元の事業所が新規に入るイメージがなかった」(防災原子力安全課)。原発が集中立地し産業の依存度が高い福井県の嶺南とは事情が違うようだ。

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 廃炉が全国で本格化する時代を迎え、「廃炉作業のビジネスは当社として当然行っていきたい」と東海原発の近江正副所長。培ってきた経験を基に「廃炉の計画を適切に安全に進めていく工法や、実際に工事を行っていく中で必要な道具を提案できる」と強調する。

 中でも原子炉周辺にある熱交換器の解体は、放射性物質に汚染された大型構造物を遠隔操作で切断するという、世界初の技術開発を進めながら取り組んでいる。

 熱交換器は高さ約25メートル、直径6メートルの巨大な円筒形。原子炉建屋の外にある操作室から遠隔で専用装置を動かし、ガス切断で輪切りにして解体していく。既に4基あるうち1基を完全に撤去した。

 担当者は「熱交換器は作業員が直接解体してもほとんど被ばくしない汚染レベルだが、技術やノウハウを習得している」と語る。今後迎える放射能レベルが比較的高い原子炉の解体に向けた装置開発につなげているという。

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 ただ、廃炉作業は決して順調とはいえない。工程を示す廃止措置計画は10年と13年の2度にわたり、原子炉解体の開始時期を延期した。当初は11年度に始め、17年度までに更地にする予定だったが、8年遅れ、更地化は25年度となった。

 原電は延期の理由に、原子炉の解体撤去物を安全に運び出す遠隔装置の導入に時間を要している点を挙げる。現時点でも「装置のイメージは出来上がっていない」(近江副所長)といい、予定通り19年度に原子炉の解体に着手できるかは厳しい状況だ。

 装置開発以外にも、原子炉解体で出る比較的汚染レベルの高い放射性廃棄物の処分先が決まっていないことが大きく響いている。


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