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震災で送電網の弱さ浮き彫り 原発の行方・第7章(10)

  • 2013年6月8日
  • 16:56
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電力会社間を結ぶ送電線の融通可能容量
電力会社間を結ぶ送電線の融通可能容量

 東日本大震災は、国内の送電網の弱さを浮き彫りにした。大津波に襲われた東北などの原発や火力発電所が一斉に止まったため、西日本の電力各社が支援しようとしたが、十分な電気を送ることができなかった。

 国内の周波数は東日本50ヘルツ、西日本60ヘルツと異なり、周波数を変換しないと電気をやりとりできない。周波数変換所は長野県に1カ所、静岡県に2カ所の計3カ所あるが、震災当時の融通能力はわずか103万キロワット。西日本の供給力の1%程度にすぎず、東日本の電力不足解消の役目は果たせなかった。

 東西の周波数を統一しようという試みは過去に何度かあったが、膨大なコストを前に頓挫してきた。資源エネルギー庁の試算によると10兆円かかるという。

 周波数変換所は2012年度に120万キロワットまで増強された。20年度には210万キロワットまで上積みする計画だ。電気事業連合会によれば工費は1320億〜1410億円かかるが、エネルギーや環境に関する研究開発を行っている電力中央研究所の栗原郁夫システム技術研究所長は「周波数の統一は現実的には難しい。変換所を増強する方が効率的」と説明する。

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 大震災後、供給力が大幅に落ちた電力会社は、余裕のある会社からの融通でしのいだ。原発の依存度が高い関西電力も需要が高まる時期は他社からの融通に頼った。

 電力融通の威力を見せつけたのは2012年2月3日。九州電力の火力発電所「新大分発電所」(出力計229・5万キロワット)で全13台の発電機が緊急停止するトラブルが発生した。しかし東京、中部、北陸、関西、中国、四国の6社が計240万キロワットを短時間で送り込み、事なきを得た。

 ただ、各社のエリアを結ぶ連系線は細い。「9電力体制による地域独占にし、それぞれの管内で供給責任を負わせていたから」と岩本伸一早稲田大教授(電力システム工学)は理由を語る。電力各社も「どの程度確保できるか、そのときになるまで分からない」と、電力融通を供給力として十分見込んでこなかった。

 地域間の融通を前提に送電網を広域的に運用することで、各社が抱える予備電源の容量を小さくできるとの指摘もあり、連系線の増強や広域運用など電力業界へ改革を求める声は大きくなっている。

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 電力融通を円滑にするため調整や情報提供などの業務を担うのは、04年にできた電力系統利用協議会(ESCJ)。

 電力自由化の環境を整え、電力会社が持つ送電インフラを特定規模電気事業者(新電力)など新規参入事業者が公平に利用できるようにするのが最大の役割だ。電力の安定供給に向け、ESCJは東西融通や連系線の強化をたびたび提言してきた。

 ネットワークの弱さは電力会社の発電部門と送配電部門を切り離す発送電分離の「足かせになるかもしれない」(栗原所長)という見方は強い。ESCJ理事でもある岩本教授は「再生可能エネルギーを普及させ、その電気を日本全体に行き届かせるためには連系線の増強が必要」と力説した。

 電力システム改革の実現を目指す政府は、全国規模で需給を調整したり、送配電網の整備計画をつくる「広域系統運用機関」を15年をめどに新設する方針。「ESCJの機能を拡充する形。会員に対して必要な指示、勧告を出せるようにし、より能動的な中立機関にする」(資源エネルギー庁)のが国の狙いだ。

電力系統利用協議会(ESCJ)

 2004年2月に発足した一般社団法人で、電力会社や特定規模電気事業者(新電力)、卸電気事業者のほか、中立的な立場の学識経験者が会員。電力を適正に流通させるため中立、公平、透明性をもって送配電網の運営の支援業務を行っている。共通ルールを策定・運用したり、東日本と西日本を結ぶ周波数変換所や地域間を結ぶ連系線の利用状況を事前に集約し、総合調整することが主な役割。発電所が建設された場合など必要に応じて連系線の増強を提言している。


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