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発送電分離で競争活発化なるか 原発の行方・第7章(11)

  • 2013年6月11日
  • 17:02
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電力供給の仕組み
電力供給の仕組み

 「消費者にとって事業者からの電力購入や料金メニューで選択の幅が広がる。支払う電気料金の低下にもつながる」

 2013年4月、電力システム改革方針を閣議決定した後の記者会見で、茂木敏充経済産業相は意義を強調した。

 1995年から段階的に進められた電力自由化をさらに進め、家庭が電力会社を選べるよう2016年をめどに全面自由化する。さらに大手電力の発電部門と送配電部門を別会社にする発送電分離を18〜20年に実現するというものだ。

 電力会社は新規参入者にも公平に送電網を使わせる義務がある。しかし参入しようという業者の中に「電力会社は自らの電源を優遇しているのでは」との疑念が生じると、ためらうことになりかねない。このため送電部門を中立的にし、競争を活発化させるのが、発送電分離の大きな狙いだ。

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 電力自由化は1990年の英国に始まり、欧米各国に広がった。競争環境を整えるため、発電から送電まで垂直統合的に担う電力会社の支配力が強くならないように発送電分離も併せて進められた。今では「ほとんどの先進国が導入する世界の常識」(高橋洋富士通総研主任研究員)になった。

 ただ、電力事業では一体的な運営のメリットもある。慶応大大学院の矢島正之特別招聘(しょうへい)教授(電力中央研究所研究アドバイザー)は「欧州では“垂直統合性悪説”がかなりあったが、20年たつと問題点も見えてきて、学者からはメリット、デメリットを比較評価すべきだとの議論が出てきた。実証分析もかなりされている」と指摘する。

 発送電分離のデメリットとして心配されるのは取引コストの増大だ。

 欧米では電力の売買に関連するさまざまな市場が生まれ、発電会社が電力の落札価格をつり上げるなど不当行為を行わないよう入札ルールも複雑になった。このため追加的な費用が発生している。

 「送電機関は中立といっても独占であることに変わりはない。ほおっておくと“望ましい機能”をどんどん加える」と矢島教授。発電、配電、供給の各事業者などでつくる送電機関の運営組織では、政治的な妥協の産物で運営方針が決まる場合があり、消費者の利益を最優先する保証はないという。

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 国が電力会社に課していた電気料金の規制がなくなり、かえって上昇する可能性もある。

 米国で自由化している州と規制している州でみると、97年に自由化州の電気料金の方が1キロワット時当たり3・1セント高かった。2011年にはその差が3・7セントに拡大した。イタリア、ドイツ、デンマーク、英国では電気料金が著しく高くなっている。

 資源エネルギー庁電力市場整備課は「一概には言えないが、競争原理を導入した方が中長期的には安い料金の実現性がある」と全面自由化の必要性を強調する。

 一方、早稲田大の岩本伸一教授(電力システム工学)は「発送電分離したとき第二の3・11が来たら誰が供給責任を負うのか」と別の観点で懸念を示す。東日本大震災では東京、東北両電力の社員が何とか電力供給しようと身を粉にして働いたが、供給義務がなくなり利潤だけを追求すれば、どうなるかは分からないというのだ。

 電力システム改革がクローズアップされているのは、電力会社への信頼が失われていることに加え、発電方法が多様化し小規模発電も可能になったからだ。しかし、電力の安定供給を損なわないルール作りは徹底する必要がある。

日本の電力自由化

 国際的に割高な電気料金が産業の競争力を弱めているとして、規制緩和の一環で1995年から段階的に進められた。「不磨の大典」ともいわれた電気事業法が改正され、95年に電力会社に電気を販売する卸発電事業、2000年に契約電力2千キロワット以上の大規模工場やデパートなど大口顧客への電力販売の自由化が実現。05年までに同50キロワット以上の小規模工場やスーパーなどにも拡大し、全販売電力量の6割が自由化された。ただ、自由化分野の販売電力量に占める新規参入者の割合は4%未満にとどまっている。


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