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規制委と司法で真逆、高浜原発の地元困惑 差し止め波紋再び(下)

  • 2015年4月18日
  • 19:40
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原発の新規制基準について「世界で最も厳しいレベル」と強調する原子力規制委員会の田中俊一委員長(左)と、新基準を「緩やかにすぎ」と批判した福井地裁の決定。真逆の判断に立地地域の住民は困惑している
原発の新規制基準について「世界で最も厳しいレベル」と強調する原子力規制委員会の田中俊一委員長(左)と、新基準を「緩やかにすぎ」と批判した福井地裁の決定。真逆の判断に立地地域の住民は困惑している

 「再稼働の手続きがもう一息のところまで来てたのに…。町に明るさが消え、今後どうなるのか不安」。関西電力高浜原発の地元福井県高浜町に住むバス運転手の男性(71)は、3、4号機の再稼働差し止め仮処分決定にショックを隠せない。

 原子力規制委員会が「世界で最も厳しいレベル」とした新規制基準に事実上合格したにもかかわらず、福井地裁の決定はその新基準を「緩やかにすぎ、合理性を欠く」と完全に否定。政府は「再稼働を進める」方針なのに、裁判所は「ノー」を突きつけた。

 「一般人にはもう訳が分からない。難しいことになっている」。原発の安全を守る規制委や政府の判断と、市民を守る“最後の砦”といわれる裁判所の判断が真っ二つに割れ、地元は困惑するばかりだ。

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 福井地裁の決定は、原発の基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)や耐震性、設備の設計などが信頼できないと断じ、▽基準地震動の策定基準を見直し大幅に引き上げる▽外部電源と主給水の双方の耐震性を(最高レベルの)Sクラスにする―などと独自の基準まで示した。

 原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「専門的な中身に踏み込んで安全性を判断する司法の一つの流れになった。耐震性をめぐる論争も意識しているように見えるし、国民的な感覚に寄り添った決定内容」と評価する。

 原発の安全規制に関し、裁判所の基準が加わり“二重基準”になったように映るが、その科学的な根拠は示されていない。国学院大の川合敏樹准教授(行政法)は「行政の審査をパスしたからといって原発が安全に運転できるとは限らないが、裁判所がここまで踏み込んで科学的な審査をできるのかは疑問」と指摘する。

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 福井地裁の決定は原発の安全対策に“ゼロリスク”を要求。さらに、規制委の田中俊一委員長の「新基準の審査はしたが、安全だということは申し上げない」という発言を取り上げ、「文字通り基準に適合しても安全性が確保されているわけではないと認めた」と厳しく指摘した。

 田中委員長の発言は、西川一誠知事も「規制委が全責任を取っていないような表現。“すき間”がある」と批判する。政府は規制委に判断を任せきりで、最終的に誰が原発の安全に責任を持つのかが一向に見えず、福井地裁の決定は国民の不安を“代弁”したとの見方もある。

 原発の安全規制に詳しい経団連のシンクタンク、21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹は「新基準の考え方や、原発のリスクにどこまで対応し、事故が起きてもどう管理できるのかを国民に向けてきちんと説明していないから、こういう司法判断が出た後に『国はちゃんとやっている』と言っても、なかなか理解してもらえない」と指摘する。

 国策として原発を活用し再稼働を進めていくのなら「分裂しているように見える政府や規制委、立地自治体、事業者が原発の安全に向け同じ考え方を共有して取り組み、国民に『しっかりしているな』と安心してもらうことが必要」と強調。「行政側が国民の生命や財産、環境を守るために努力すれば、司法が頭越しに否定することはなくなる」と訴えた。

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 福井地裁は2015年4月14日、高浜原発3、4号の再稼働差し止めを命じる仮処分決定を出した。昨年5月の大飯原発3、4号機に続き、再び原発再稼働を認めなかった。今後の影響を探る。


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