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地熱発電の潜在能力高く 原発の行方・第7章(7)

  • 2013年6月5日
  • 16:17
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杉乃井ホテルの屋外温泉プールで毎夜繰り広げられる噴水ショー。同ホテルは使用電力の約6割を地熱発電で賄っている=2013年5月、大分県別府市
杉乃井ホテルの屋外温泉プールで毎夜繰り広げられる噴水ショー。同ホテルは使用電力の約6割を地熱発電で賄っている=2013年5月、大分県別府市

 午後7時になると、ホテル周辺に飾られた約110万個の電球が一斉に点灯する。ホテル前に立ち上る湯煙は赤や青の光に照らされ、宿泊客からは「オーロラみたい」と感激の声が漏れた。屋外温泉プールでは光と音による噴水ショーが繰り広げられ、幻想的な空間がカップルや親子連れを魅了していた。これらの光の演出はすべて地熱発電による電気を使ったものだ。

 日本一の源泉数、湧出量を誇る温泉地・大分県別府市の老舗「杉乃井ホテル」は、使用電力の約60%を自前の地熱発電所(出力1900キロワット)で賄っている。オイルショックを機に、国の支援を受けて敷地内に建設し、1980年から発電を開始した。現在はホテルの社員5人が24時間体制で運転管理している。

 「クリーンエネルギーによる『エコ』な光のショーはホテルの売り。リピーターのお客さまからも大変好評です」と同ホテルの東健治・ダイレクトマーケティング部長は胸を張る。

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 地熱発電は、地下数百〜数千メートルまで井戸を掘削し、取り出した高温の蒸気でタービンを回す。昼夜を問わず、天候にも左右されないため出力が安定しているのも特徴だ。発電時に出る二酸化炭素量が極めて少ないなどの利点もある。

 産業技術総合研究所によると、火山列島日本の地熱資源量は原発約20基分に相当する2347万キロワットで、米国、インドネシアに次ぐ世界3位。しかし、日本国内で稼働中の地熱発電所は17カ所で総出力は53万キロワット。国内資源量の2%しか使われておらず、大型原発1基の半分程度にとどまる。発電所の新設は99年を最後にストップしている。

 開発が進まない理由について、一橋大大学院の橘川武郎教授は「発電所の建設に適した用地の8割が、厳しく規制されている国立・国定公園内にあること。もう一つは、温泉の枯渇を懸念する温泉業者の反対がある」と解説する。

 ただ東日本大震災を機に状況は変わってきた。国は発電所の建設促進のため規制緩和に乗り出し、公園外の地表から公園内の地下資源に向かって井戸を掘る「斜め掘り」を容認。さらに地元合意や自然環境への影響を最小限にとどめる技術の導入などを条件に、比較的規制の緩い公園内での「垂直掘り」も認めた。地熱関係の業者の間で開発へ機運は盛り上がっている。

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 井戸を新たに掘らずに、既存の温泉の熱水や蒸気を活用して小規模発電する技術も進展。「温泉が枯れる恐れがある」と、地熱発電に懸念を示してきた温泉業界の風向きも変わってきた。

 タービン設計会社「ターボブレード」(大分市)は、既存の温泉源からわき出す熱水と蒸気で二つのタービンを回し、エネルギーを効率良く生み出す「湯けむり発電」装置を開発。別府市内の一般家庭約3千戸に天然温泉を給湯している「日本地熱興業」(別府市)など地元企業と共同し、同市内で実用化に向けた実験を進めている。

 日本地熱興業の阿部重徳常務は「今ある温泉源を活用できる画期的な装置。今後、温泉旅館などに導入してもらいたい」と期待を込める。

 5月18日には、安倍晋三首相が実験現場を視察。小型の地熱発電に関する規制を緩和し、普及を後押ししていく考えを示した。

 ターボブレードの林正基社長は「自然エネルギーの関心が高まっているここ数年が勝負。地熱発電による電力の地産地消モデルを大分から発信したい」と意気込んでいる。


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