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小水力発電、地域の活力に 原発の行方・第7章(5)

  • 2013年6月1日
  • 16:07
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地域に活力をもたらした小水力発電の水車前で、新たに地域に移り住んだ男性と語り合う久保田理事長(左)=2013年5月、岐阜県郡上市白鳥町石徹白
地域に活力をもたらした小水力発電の水車前で、新たに地域に移り住んだ男性と語り合う久保田理事長(左)=2013年5月、岐阜県郡上市白鳥町石徹白

 河川や農業用水などの流れを利用する「小水力発電」は太陽光や風力と比べて天候による変動が少なく、全国的に導入が進む。環境省の2010年度調査によると、福井県内では約550地点の河川や農業用水で計33万3千キロワットの導入可能量があるという。福井県は特に砂防ダムに注目し、県内42カ所で出力5〜250キロワットの発電が可能との試算を出した。

 昨年8月には福井県あわら市清滝で清滝川の砂防ダムを活用しようと、土木事業者、あわら市、地元住民団体らによる協議会が発足した。県の試算では出力19〜36キロワット。ところが実際に同協議会が水量を調べると、出力8キロワットしか望めなかった。初期投資回収に20年以上かかる。協議会のメンバーは「まったく採算が合わない」と肩を落とした。

 山中での計画のため、送電線の整備もコスト高になる。小水力発電に詳しい県内関係者の一人は「立地条件のいい場所にはすでに電力会社の発電所がある。県の試算通りの適地はそうはない」と打ち明ける。

  ■  ■  ■

 福井県との県境に位置する岐阜県郡上市の白鳥町石徹白(いとしろ)地区。集落の坂道を上ると、直径3メートル、最大出力2・2キロワットの上掛け水車が豊かな雪解け水を受けて回っていた。おこした電力はすべて隣接する農産物加工場で消費している。

 「小水力発電は地域活性化の起爆剤」と語るのは、事業主体となっている地元NPO法人「やすらぎの里いとしろ」の久保田政則理事長(66)だ。「集落の豊富な水を何かに使えないか」と常々考えていた久保田さんらに岐阜県内の別のNPOが呼び掛け、2007年に実証実験を開始。09年にらせん型水車(最大出力800ワット)、11年に上掛け水車の実用化にこぎ着けた。

 調査、設計、資金調達などはすべてNPOを中心とした住民で行った。電気制御のシステムは通販やホームセンターで購入した部品で手作り。メンテナンスもNPOで行っている。

 売電益はないが、企業や行政に頼らずに地元住民だけで運営する小水力発電は全国でも珍しく、人口約270人の山村に年間500人の見学者が訪れる。この3年間に小水力をきっかけに石徹白の魅力を知った子育て世代の4世帯11人が、県内外から移住してきた。新たな人材は次のまちづくりの原動力になっている。

 現在、地区内では計140キロワットの小水力発電所2カ所の建設計画が進む。これまでの実績が国や県の大型補助事業を呼び寄せた格好で、総工費計4億5千万円のうち、1千万円以上に及ぶ地元地区の負担は各世帯からの出資でまかなう。久保田さんは「小さなことをコツコツと積み重ねる中で、住民みんなが同じ方向を向いてまちづくりに取り組めるようになった」と感慨深げ。3年後には地区で年間に消費する以上の電力を地区内でつくり出すという、長年の夢がついに達成される見通しだ。

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 小水力発電は地形や水量など地域の環境に左右され、石徹白のモデルが福井県内でそのまま使えるとは限らない。水利権や河川法をめぐる複雑な手続きが導入のハードルになることも多い。しかし、福井小水力利用推進協議会会長の菊沢正裕・福井県立大教授は「ハードルをクリアするには地域が一つになる必要がある。だからこそ、小水力発電は地域づくりの引き金になる」と語る。逆境をはね返す新たなアイデアが福井型モデルにつながる可能性もあると強調する。

 昨年度は水量不足に泣いた清滝川の協議会。だが取り組みは終わっていない。協議会の山?博三会長(66)は「小水力を始めることで人の交流を生み、過疎地域を少しでも前に進めるきっかけにしたい」と話す。本年度は調査地点を変えて再挑戦することを決めている。


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