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太陽光設備、市民資金で設備浸透 原発の行方・第7章(3)

  • 2013年5月30日
  • 15:54
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南向きの屋根に、太陽光発電パネルがずらりと並ぶ長野県飯田市の住宅街。設備の普及に、市民が共同出資した資金が生かされている=2013年4月
南向きの屋根に、太陽光発電パネルがずらりと並ぶ長野県飯田市の住宅街。設備の普及に、市民が共同出資した資金が生かされている=2013年4月

 長野県の最南端、本州のほぼ真ん中に位置する飯田市。南アルプスと中央アルプスに囲まれた谷地に、約11万人が暮らす。「高速道路を下りた県外の人が『屋根に太陽光発電パネルを設置した家が多い』と驚くんですよ。太陽光発電はもう飯田の名物」と話すのは、市内で飲食店を営む尾沢あきらさん(42)だ。

 自身も2年前、店舗に併設する自宅に3・3キロワットの太陽光発電設備を取り付けた。通常200万〜250万円かかる初期費用は“ゼロ”。市内外の住民が出資した「市民ファンド」で設備費用を賄う制度を利用した。

 ファンドは地元の株式会社「おひさま進歩エネルギー」が母体となり運用している。尾沢さんら住宅所有者は費用負担なく発電設備を設置してもらう代わりに、9年間にわたり月々約2万円を同社に支払う。昼間発電した電気は住宅で使い、余った電気は中部電力に売電。節電に努め売電収入が増えれば、月々の実質的な負担は減ることになる。10年目には設備を同社から譲り受け、長期的には得する仕組みだ。

 一方、投資家は、例えば1口10万円の出資者の場合、目標通りなら9年間で元本と合わせ計11万8千円が分配されるという。この方法を中心に、2009〜11年の3年間だけで、約100戸に設備を置いた。

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 東京電力福島第1原発の事故後、再生可能エネルギーの活用に当たり、市民共同出資の手法が注目されている。本県でも今年2月、住民らから計1千万円を集め、あわら市など3カ所の屋根で太陽光発電が始まった。一般の住民を対象に出資を募り、売電収入から“もうけ”を出す枠組みは、県内で初めてだ。

 おひさま進歩の原亮弘社長は「市民出資は当初、高額な太陽光発電設備の初期費用をなくし、導入を促すために考案した」と話す。しかし今後は「地域住民が共同で空き地に大規模な設備を置いたり、設備に大きな資金が必要なバイオマスや小水力発電の資金調達するために活用できるのではないか」とみている。

 さらに都市部の住民が再生可能エネルギー事業に参画するための手段となる点も主張する。「原発事故前は、1契約当たりの出資額が平均40〜50万円だったが、事故後は100万円に倍増し、1千万円を超えるケースも出てきている」と、意識の高まりを感じている。

 出資した飯田市民は既に、資産運用以上の意義を見いだしていた。市内の会社員横前進さん(36)は今年2月、ほかの投資先に比べると配当の少ない同社のファンドを、あえて選んだという。「原発事故を機にエネルギーに関心を持った。電力は地産地消が理想。出資をすることで、その主張ができると感じる」

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 おひさま進歩は05年から公共施設の屋根を利用する市民ファンド方式の事業も展開してきた。これまでに設置したのは住宅や施設268カ所、約2700キロワット分。六つのファンドで計11億8千万円を運用するまでに成長している。市地球温暖化対策課の田中克己課長補佐は「信用を重ねてきたことで、資金が集まるようになっている」と分析する。

 市内の一般住宅の太陽光発電普及率は約5・9%。市全体の電力需要からみると、太陽光でまかなえている量はごく一部という。「だからこそまだ再生可能エネルギーには可能性がある」と原社長は強調する。

 市は今春、市民が地域環境を利用する「地域環境権」を盛り込んだ「再生可能エネルギーの導入による持続可能な地域づくり条例」を制定した。田中課長補佐は「地元と協働して自然のエネルギー資源を活用する企業を支援する。第2、第3のおひさま進歩が出てほしい」と期待を込めた。


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