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洋上風力発電所、津波も無傷 原発の行方・第7章(4)

  • 2013年5月31日
  • 15:58
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三谷商事の子会社が運営する洋上風力発電。東日本大震災時も、ほぼ無傷だった=2013年5月、茨城県神栖市沖
三谷商事の子会社が運営する洋上風力発電。東日本大震災時も、ほぼ無傷だった=2013年5月、茨城県神栖市沖

 沖合50メートルの洋上に高さ60メートルのタワーがそびえ立つ。40メートルに達する羽根3枚が太平洋の風を受け「ビューン、ビューン」と回る。沿岸約5キロにわたって連なる15基の風車。1基当たりの発電能力は2千キロワットあり、全体で約1万5千世帯の電力を賄う。

 茨城県神栖(かみす)市の鹿島臨海工業地帯沖で、この風力発電所を運営しているのは三谷商事(本社福井市、三谷聡社長)の子会社ウィンド・パワー(本社神栖市、小松?衞社長)グループだ。

 東日本大震災で震度6を観測したこの場所は、5メートル超の津波が襲った。停電で風車は止まったが、ほぼ無傷。電気が復旧した3日後には動きだし、送電を再開した。

 ウィンド社の小松?忍専務は「われわれはエネルギーのベストミックスの在り方を模索してきた」と話す。燃料輸入が止まれば動かせない火力、津波でダメージを受けた原発…。「3・11で、発電装置の多様化が電力の安定供給に不可欠と確信した」と振り返る。

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 国内の風力発電の総設備容量は約255万キロワット(2011年度)で、01年度に比べ約8倍に伸びた。1866基ある風車のほとんどは陸上に設置され、本県では福井、あわら市に12基がある。敦賀市と南越前町にまたがる山でも計画が進む。

 ただ、日本の国土は狭く、陸上の適地は少ないという指摘は多い。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)広報室の木内茂さんは「陸上は騒音などで住民とトラブルになるケースがある。設備も効率化のため巨大化していて、40メートル以上の羽根を運べる道路は限られている」。

 一方、環境省が行った風力発電の導入ポテンシャル(資源量)調査によると、▽水深200メートル未満▽風速6・5メートル以上―などの条件を満たす洋上に発電設備を可能な限り備えた場合、その能力は16億キロワットで陸上の約6倍。「安定的に風が吹き、稼働率が高い洋上風力は再生可能エネルギーの切り札になる」という意見は、多くの関係者の間で一致する。石原伸晃環境相も今年3月、「2020年に洋上風力発電の能力を100万キロワット以上にしたい」と述べ、現在の約30倍に相当する目標を打ち出した。

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 今夏、実証研究として福島県沖約20キロで高さ約100メートルの大型風車が動きだす。来年には200メートルの風車2基も建設される。国と複数の国内メーカーが組むビッグプロジェクトだ。

 これまでの洋上風力は、国内外問わず海底に土台を置いて固定する「着床式」だったが、同プロジェクトでは風車を海に浮かべる「浮体式」を採用。風車は、船の構造のように中が空洞になった鋼材の上に立つ仕組みだ。構造物は複数のチェーンで、120メートル下の海底とつなぎ固定する。

 着床式はコストの面から、水深50メートルが限度とされる。資源エネルギー庁新エネルギー対策課の飯島寛之課長補佐は「遠浅が少ない日本では、浮体式の技術開発や(コストなどの)データ収集が必要」と強調。民間企業の参入だけでなく「メード・イン・ジャパン」の技術力で世界をリードし、洋上風力を輸出につなげるビジョンを描く。

 ただ洋上は、気象などにより建設工期が長引いたり、陸とつなぐ海底ケーブルの設置が必要で、コストが膨れ上がる。風力発電に参入しているある企業の幹部は「海底ケーブルを道路と考え、公共事業として予算化するなどの対策がなければ、民間参入は進まない」と見通す。

 日本風力発電協会の花岡隆夫事務局長も、国の固定価格買い取り制度で洋上と陸上の単価が同じだと指摘し「来年は洋上の買い取り単価を上げるよう要求したい」。普及には官民一体となった、さらなる取り組みが不可欠と訴える。


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