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イギリス、政府組織が廃炉の司令塔 廃炉先進地の今(7)

  • 2014年8月20日
  • 18:32
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イギリスの政府組織NDAが司令塔となり廃炉作業が進められている原子力施設「セラフィールド」=カンブリア州
イギリスの政府組織NDAが司令塔となり廃炉作業が進められている原子力施設「セラフィールド」=カンブリア州

 1956年に世界で初めて商業用の原発を稼働させたイギリス。国営で始まり、90年の電力自由化以降は民営化された。ただ発電効率が悪い初期の原発は、国が引き続き保有して廃炉にすることを決めた。国が税金で取り組まざるを得ないため「負の遺産」と言われる。

 2014年1月現在、同国では16基が運転中で、それを上回る28基で廃炉作業が進む。廃炉措置は80年代から国内最大の原子力施設「セラフィールド」などで始まった。2005年には政府組織「原子力廃止措置機関(NDA)」が創設され、それまで管理していた国の公社から所有権を譲り受けて廃炉を担う。政府予算は年間30億ポンド(約5100億円)を超える。

 NDAの廃炉は80~100年間、原子炉建屋ごと動かさずに管理し、その後に解体する方法だ。こうした「超長期戦略」は世界でも珍しいという。長年の間に放射線量が半減し接近して直接解体撤去ができ、作業や環境への影響を軽減できるのが理由の一つで、雇用や人材も長く維持できる。2040年操業開始とされる最終処分場建設のスケジュールを考慮し、投資を平準化した方がよいという判断もあった。

 NDAの社員はわずか約230人で、視察で訪れたカンブリア州にあるNDA本部には140人しかいなかった。小規模なのは、実際の運営や廃炉作業はNDAと契約した民間企業「サイトライセンスカンパニー(SLC)」7社に委託しているからだという。

 「廃炉に関して政府が政策を決定し、その政策に従ってNDAが戦略を練る。戦略に基づいてSLCが廃炉を実行するという役割分担だ」と、NDAの国際関係部長のジョン・マセソン氏は説明する。NDAは司令塔の役目に徹する。

 一方、実際に廃炉作業を行うSLCの下請けには、汚染除去、解体、廃棄物処理、貯蔵、運搬など廃炉作業の分野ごとに企業が参入できる仕組みになっている。海外企業も入れるため企業間競争が生まれやすく、コスト圧縮につながっている。

 廃炉の調査団長を務めた日本原子力研究開発機構バックエンド研究開発部門の林道寛氏は「国が投資し、NDAがマネジメントを行った上で、その成果は民間企業がノウハウや技術として蓄え、それを別の原発の廃炉に生かしている。国が企業を育てている」と指摘した。

 超長期戦略により廃炉完了はまだまだ先だが、廃炉中の全原発の跡地の活用方法についてはNDAで設定済みだ。再生可能エネルギーの発電所や原発のリプレース(置き換え)、ビジネスパーク、居住地、緑地…。政府や規制当局、地域住民といったステークホルダー(利害関係者)へ、立地地域に応じた提案をしている。

 「説明責任を果たすことが最大の使命」とマセソン氏。ただ、現時点でステークホルダーと合意に至ったケースは一つもない。

 NDAの別の担当者は「どこの原発でもステークホルダーは一枚岩ではなく、さまざまな意見が出ている。調整には時間がかかる」と語った。

  ×  ×  ×

 世界の原発約430基(2014年1月時点)のうち、廃炉段階にあるのは約130基。その約6割を欧州の原発が占める。福井県内原発も高経年化(老朽化)が進み廃炉時代が目の前に迫る中、日本技術者連盟の廃炉実態調査団に同行し「廃炉先進地」といえる欧州4カ国を訪れ、取材した。


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