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【論説】原発再稼働 住民の安全確保は困難だ

  • 2015年8月12日
  • 12:37
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 東京電力福島第1原発の過酷事故からどれだけ教訓を学んだのか。「原発不要論」が過半数に達する厳しい世論環境の中で原発が動き出した。原子力規制委員会の新規制基準に合格した九州電力川内原発1号機が再稼働し、国内の「原発ゼロ」に終止符を打った。経済政策偏重の政府は電力の安定供給を最重視。国民の不安感を払拭(ふっしょく)することなく再稼働が加速するだろう。

 政府や電力会社は「原発の安全性確保に万全を期す」と言明する。しかし、安倍晋三首相が強調する「国民への丁寧な説明」もなく「世界最高水準の新基準に適合すると認められた原発を再稼働していく」と繰り返すばかりだ。国民の理解が得られない国策の危うさは増す一方である。

 ■再び依存型回帰■

 電力不足を理由に一時的に運転した関西電力大飯原発3、4号機の停止以来、約1年11カ月ぶりの再稼働となる。川内2号も10月中旬を目指す。審査申請した15原発25基中、他に合格したのは関電高浜3、4号機、四国電力伊方3号機のみ。

 経済産業省がまとめた2030年の電源構成では、総発電量に占める原発の割合を「20〜22%」とした。今後は「40年で原則廃炉」の規定を超え、最長20年の延長運転が現実化する。

 そればかりか、新増設やリプレース(建て替え)を求める声は政権与党からも聞こえてくる。安倍首相の言う「原発依存の可能な限りの低減」は説得力を持たず、未曽有の事故から4年半を経て、再び、いつか来た道を歩み出す。

 再稼働の先鞭(せんべん)をつけた川内原発に対し「もし福井県なら了解できないだろう」との声が本県サイドから漏れる。鹿児島県には福井県の原子力安全専門委員会のような独自にチェックする機能もなく、国に厳しい条件を突き付ける行政経験も劣る。電力側も周辺自治体への説明を怠っている。

 ■避難訓練もせず■

 鹿児島県は昨年、住民避難計画をまとめたが、実効性を確認する訓練は13年10月を最後に2年近くも実施していない。「九電の多忙」が理由だという。こんな「机上の計画」では安全な避難ができるはずもない。

 県では被ばくリスクが高い5キロ圏をまず避難させ、その後毎時20マイクロシーベルトの放射線量が測定された地域住民を避難させる2段階方式を採用した。福井県も2段階だが、事故時の冷静な避難は不可能に近い。福島の教訓から学び取るためにも訓練の積み重ねが必要になる。

 規制委の田中俊一委員長は「規制基準と原子力防災は車の両輪」として住民避難の重要性を強調したはずだ。だが原子力防災は事実上の自治体任せ。望月義夫原子力防災担当相は「避難訓練実施は再稼働の条件ではない」と言い放った。避難計画の策定に関し規制委の権限と責任を明確にするべきではないのか。

 ■福井は慎重期せ■

 規制の厳格な基準では、原発の重要施設直下に活断層があれば廃炉を強いられる。川内原発は火山対策が課題だ。規制委は原発周辺にある14火山の影響を評価。破局的噴火が原発運用期間中に発生する可能性は十分小さいとするが、火砕流の痕跡は敷地内にもあり火山学者は噴火予測の困難性を厳しく指摘する。

 安全性確保について安倍首相は「国が前面に立つ」と言いながら実行せず、田中委員長も「原発の安全性」を保証しない。事故時の損害賠償の仕組みや保険、資金の手当ても不十分だ。使用済み核燃料の中間貯蔵や高レベル核廃棄物の最終処分もめどが立たず、無定見な国の原発回帰である。

 関電は高浜3、4号機の11月再稼働を目指すものの4月に福井地裁が再稼働を禁じる仮処分を出したことで、先行きは不透明。県や地元には住民安全の観点から慎重な対応を求めたい。「原発先進県」としての質の高さを示すべきである。


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