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「原発は悪」では廃炉担う人材育たず 廃炉先進地の今(5)

  • 2014年8月17日
  • 18:22
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世界最大級の廃炉プロジェクトが進むグライフスバルト原発。廃炉を担うEWNでは人材育成が課題となっている=ドイツ
世界最大級の廃炉プロジェクトが進むグライフスバルト原発。廃炉を担うEWNでは人材育成が課題となっている=ドイツ

 廃炉を担う人材をどのように育成し確保していくかは、どの国も抱える課題だ。ドイツも例外ではなかった。

 グライフスバルト原発には廃炉が決まった1990年に、約5500人の社員が働いていた。解体作業が始まった95年までに半数以上がほかの原発に移った。一方で、約2千人はそのまま残り、廃炉専門の国営会社「EWN」の社員として雇用された。

 「廃炉が決まった当初は解体作業の進捗(しんちょく)に合わせ、2015年までに社員を30人規模まで縮小する計画だった」。当時を知るEWNの技術者アクセル・ベッカー氏(61)は振り返る。先が見えていることで「職場の意識は低下していた」という。しかし現在、同原発の解体作業はほぼ終わったにもかかわらず、計画を大きく上回る約760人の社員が在籍する。

 雇用が継続しているのは、EWNが世界に先駆けて積み重ねた廃炉作業のノウハウを生かし、世界各地の廃炉プロジェクトに参入するようになったからだ。これまでにロシアの50隻以上の原子力潜水艦の原子炉を解体した。現在は、東欧諸国を中心とした原発10基ほどの廃炉に携わり、2080年まで作業に関わっていく方針が決まっているという。

 「早い段階で廃炉がビジネスになるととらえ、廃炉のやり方や計画策定の方法を体系化したことが今につながっている」。調査団長を務めた日本原子力研究開発機構バックエンド研究開発部門の林道寛氏はこう指摘する。

 一方で、EWNには新たな問題が浮上している。福島第1原発の事故以降、ドイツは2022年までの原発全17基の停止を打ち出したが、その影響で「原発は悪いといった社会風潮がある。若者が入社せず若い技術者が育っていない」。ベッカー氏はそう打ち明ける。

 実際にドイツの若者は原発をどう見ているか。地元出身で同原発近くのホテルで働く従業員リカル・ダパウチュさん(27)に聞いてみた。「国内で廃炉は進んでおり、原発は終わったものという印象。ただ廃棄物処理の問題への関心は持ち続ける必要がある」と話してくれた。

 EWNは社員のうち技術者が約200人おり、平均年齢は53歳、最年少でも50歳だ。EWNが今後も長期的に廃炉プロジェクトを進める上で、技術そのものは確立されているが、ベッカー氏は「蓄積された知識をどう維持し継承していくかが課題」と強調する。

 1974年からグライフスバルト原発の技術者として働くベッカー氏は「先代から受け継いだ知識を渡す先(次の世代)が十分にない…」と嘆きつつ、「国は原発停止を掲げるだけ。それに合わせた人材育成を進める必要があると言う人が全くいない。ノウハウをうまく引き継いでいくためにどうすればいいのか。それを考えるのも政治の役目だ」と語気を強めた。

  ×  ×  ×

 世界の原発約430基(2014年1月時点)のうち、廃炉段階にあるのは約130基。その約6割を欧州の原発が占める。福井県内原発も高経年化(老朽化)が進み廃炉時代が目の前に迫る中、日本技術者連盟の廃炉実態調査団に同行し「廃炉先進地」といえる欧州4カ国を訪れ、取材した。


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