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川内原発再稼働は見切り発車 「地元」範囲、明言避け続ける政権

  • 2015年8月12日
  • 11:59
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政治と原発の動き
政治と原発の動き

 九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)が11日、再稼働した。東京電力福島第1原発事故から4年5カ月、史上最悪の原子力災害を踏まえ厳格化された新規制基準に基づく初の再稼働だが、事故時の責任の所在や同意が必要な「地元」の範囲は不明確なまま。見切り発車の原発回帰が始まった感は否めない。

 ▽はしご外し

 安倍晋三首相は原子力規制委員会の審査をクリアした原発を順次、再稼働させる方針だが、川内再稼働で明快なメッセージはなかった。五輪招致に絡み、第1原発の汚染水問題で「状況はコントロールされている」と世界に宣言し、国が前面に出る姿勢を示したのとは対照的だ。

 「1番手とはいえ、総理が前に出れば、原発が動くたびに同じことを求められる。トラブルがあれば責任問題にもなりかねない」。自民党幹部はそう警戒する。宮沢洋一経済産業相も「事業者が(規制委の)許可を得て最終判断をし、再稼働に至る。政治的判断の余地はない」と、政権の関与については明言を避けてきた。

 電力業界ははしごを外された格好だ。ある会社の幹部は「国策だから原発をやってきたが、事業者の判断と責任でやれと言われたら、これ以上やるべきだとは思わない」と漏らす。

 ▽絞り込み

 「1番手は福井か鹿児島」。昨年2月、規制委で川内をはじめ関西電力大飯、高浜、四国電力伊方(愛媛県)などの審査が進んでいた時、政府は水面下で再稼働第1号となる原発の絞り込みを進めていた。

 問題は、再稼働に反対の世論が根強い中、政治的なリスクをどう避けるか、だった。判断材料の一つとしたのは立地自治体トップのカラーだ。

 白羽の矢を立てた西川知事と鹿児島県の伊藤祐一郎知事の2人を、政府は「いずれも原子力政策に明るく、県内で強いリーダーシップがある。周囲の声にぶれない知事でないと1番手は務まらない」(政府関係者)と考えていた。

 ところが昨年7月、福井県に隣接する滋賀県の知事選で「卒原発」を掲げる三日月大造氏が与党推薦の元経産官僚を破ったことで、1番手は川内に大きく傾いた。

 ▽禍根の種

 「立地自治体という言葉だけが独り歩きしている」。京都府の山田啓二知事は原発の「地元」の範囲に疑問を投げ掛ける。川内に続き審査に合格した高浜の5キロ圏に京都府舞鶴市が入るにもかかわらず、関電と結んだ安全協定で立地自治体並みの「地元同意権」が認められていないからだ。

 京都府は3月、地元同意の範囲に府と舞鶴市が含まれないなら、その根拠を明確に示すよう、文書で政府に申し入れた。

 福島事故で放出された放射性物質は当時の防災対策の重点区域だった10キロ圏をはるかに超え、50キロ圏の福島県飯舘村までも高い濃度で汚染した。原発事故が起きれば立地市町村だけの問題でなくなることは明白だ。審査合格3例目となった伊方をめぐっては、海を挟んで50キロ圏の大分県側でも、事故があれば直接被害が及ぶとの懸念が市民団体を中心に高まっている。

 川内の再稼働では、避難計画策定が義務付けられる30キロ圏の自治体から「地元」に加えるよう鹿児島県に要望する動きがあったが、結局、地元同意の対象は県と薩摩川内市のみに。ある県議は「予算を盾に県が反論を封じ込んだ。禍根が残らなければいいが」とこぼす。

 責任やリスクを負うのはいったい誰なのか。明確な答えのないまま原発が再び動きだした。(共同)


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