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福井・高浜原発ルポ 裁判で運転停止、揺れる町

  • 2017年1月19日
  • 13:00
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新規制基準に基づき全国で2番目に再稼働し、現在は司法判断で停止している関西電力高浜原発。左側の球体の建物が3、4号機で右の円筒形が1、2号機=福井県高浜町(佐賀新聞社提供)
新規制基準に基づき全国で2番目に再稼働し、現在は司法判断で停止している関西電力高浜原発。左側の球体の建物が3、4号機で右の円筒形が1、2号機=福井県高浜町(佐賀新聞社提供)

 新規制基準に基づき国内で2番目に再稼働した関西電力高浜原発3、4号機(福井県)は、昨年3月に大津地裁が新基準や避難計画などに疑問を投げ掛ける形で運転差し止めの仮処分を決定したため、運転を停止している。九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の審査合格が迫る中、再稼働に揺れた高浜町の今を訪ねた。

 JR佐賀駅から福井県敦賀市のJR敦賀駅まで、特急と新幹線を乗り継いで約5時間。そこからさらに、高速道路と海岸沿いの国道を1時間半近く車で走り、高浜原発がある福井県最西端の町・高浜町に着いた。

 道路の案内看板には「高浜原電」と記されている。「この町で『原発』と公言するのは私ぐらい。呼び方一つで、その人の原発への考え方が分かる」。3・11以降、地元で反対運動を続けている市民団体の東山幸弘さん(70)は、長く原発とともに暮らしてきた地域の実情を教えてくれた。

 高浜町の人口は1万人余り。高浜町商工会の田中康隆会長(60)は「以前から農漁業などの基幹産業はなく、サラリーマンの町として成り立ってきた」と話す。周辺にあった大手の造船所や工場などが規模縮小や閉鎖する中で高浜原発の役割は大きくなり、「現在では最大の雇用先」となった。労働人口の3割が原発関係の仕事に携わっている。

 「関電の社員も町内に住み、貴重な地域の担い手になっている」と田中さん。若狭湾岸は高浜原発以外に関電の大飯、美浜の三つの原発が立ち並び「原発銀座」とも呼ばれる。関電の原子力事業本部も美浜町にあり、「この辺に家を建てれば、ほかの原発に異動しても通勤できる」という事情がある。

 ◆住民「将来設計できず不安」

 高浜3、4号機は2016年1、2月に再稼働した。しかし隣の滋賀県にある大津地裁は同3月、福島の事故を念頭に「事故が発生すれば環境破壊は国外にも及ぶ可能性さえある」などとして、運転差し止めの仮処分を決定した。原告に地元住民はほとんどいなかった。

 以降、運転は停止され、町は再稼働前と同じ状態が続く。「長期運転停止による倒産した例は聞いたことがない」と田中さん。ただ、原発の稼働時は約1年に1回の定期検査で作業員の宿泊などであった「書き入れ時」が、今は見通せない。地域経済への影響は「原発の停止というより、将来設計ができない不安」と強調する。

 ◆再稼働「はっきりして」

 「動くなら現状を続けるし、止まるなら商売の在り方を変える。どちらかはっきりしないのが、一番やりようがない」。再稼働にとどまらず、原子力政策全般の先行きの不透明さに、いら立ちを隠さない。

 高浜原発に向かう細い道で安全対策を実施する工事車両が行き交う状態も、いずれなくなる。「今はいいが、運転停止で町へのお金の流れは確実に減り、高齢化も進んでいる。先が見えず、自分の代で店を畳むと話す人は増えている」。田中さんは「原発城下町」の将来を案じている。

 <ズーム>

 ■高浜原発 関西電力が福井県高浜町に所有する原発で、九州電力玄海原発と同じ加圧水型軽水炉(PWR)が4基ある。再稼働した3、4号機はいずれもプルサーマルを実施しており、出力は87万キロワット。福井県の西川一誠知事は2015年12月、再稼働に同意した。滋賀県と京都府も避難計画の策定が義務付けられる半径30キロ圏内にある。重大事故時には、兵庫県宝塚市など県外への避難も計画されている。避難先の住民に対する放射線教育など、受け入れ態勢が課題。1、2号機は16年6月、運転開始から40年を超えた老朽化原発としては全国で初めて審査に合格して運転延長が認められた。再稼働は対策工事を経て19年秋以降になる見通し。(佐賀新聞社提供)

 【元記事リンク】佐賀新聞LiVE「福井・高浜原発ルポ」


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