福井と沖縄、原発と基地のニュースサイト

ドイツ、原発跡地に工場団地 廃炉先進地の今(3)

  • 2014年8月15日
  • 18:12
  • Twitterでシェア0
  • Facebookでシェア0
  • Google+でシェア
  • 0
グライフスバルト原発の元タービン建屋。風力発電の支柱にする巨大なパイプなどを造る工場となっている=ドイツ
グライフスバルト原発の元タービン建屋。風力発電の支柱にする巨大なパイプなどを造る工場となっている=ドイツ

 2022年までの脱原発を決めたドイツには、廃炉作業を進めながら、新たな産業拠点として生まれ変わりつつある原発があった。首都ベルリンから北東へ約200キロ。収穫期を迎える麦畑と、無数の風力発電機を横目に走った先にあるグライフスバルト原発だ。

 東西ドイツが統一した1990年に閉鎖され、95年から計5基の解体・除染作業が始まった。政府が100%出資している企業「EWN」が、世界最大級の廃炉作業を担う。作業は20年近くたつが今も終わっていない。

 廃炉によって地域経済はどうなるのか。そんな不安を抱く自治体や住民の声にこたえるように、解体のみを行うのではなく、建屋を残しながら跡地の再利用を同時に進めている。

 「原発跡地には原子力業界とは異なる30社の中小企業が進出し、約1千人の雇用も生まれた」。こう説明するのはEWN廃炉担当のアクセル・ベッカー氏。東京ドーム42個分に相当する約200ヘクタールの敷地は、ほとんどを進出企業が買い上げた。造船会社、鉄鋼会社、菜種油メーカー…。さまざまな企業が転入してきて、まさに工業地帯という雰囲気だ。

 例えば、敷地中央部にある端から端まで約1・2キロもあるタービン建屋。内部の解体と除染を行って2007年に“空き家”となった。その大きさを利用し、現在は船舶や海上クレーンの製造工場となっている。風力発電の支柱になる巨大パイプも造っている。数十メートルにもなるパイプやクレーンを造る上で、タービン建屋は格好の規模だった。

 さらにバルト海沿岸部という立地を生かして造成された港があることが、企業がモノを運ぶ上での大きなメリット。EWNが国に支援を求め、補助金5500万ユーロ(約80億円)を受け、原発運転中に使っていた原子炉用冷却水の排水路を掘削。幅94メートル、長さ890メートルにわたり陸地側に入り込んだ港に造り替えた。

 インフラ整備は原発稼働時から進んでおり、今も使える。近くの町から作業員や資材などを原発内の建物に運び入れるために、もともと鉄道線路が引き込まれていた。送電線網や周辺道路も既に整備されている。港近くにはロシアから天然ガスを運ぶ海底パイプラインの終着点がある。

 企業誘致のため、EWNは跡地や関連インフラの情報を提供する。「関心のある国内外の企業に対し、土地や施設整備が安価で行えるというインセンティブを与えている」(ベッカー氏)という。

 好条件が重なった同原発は、新たな産業の誘致で活路を見いだした。ただ日本に当てはめると、原発は過疎地域などに造られ、雇用創出や活性化につなげてきた経緯がある。同じような成功が望めるとは言いきれないと感じた。

  ×  ×  ×

 世界の原発約430基(2014年1月時点)のうち、廃炉段階にあるのは約130基。その約6割を欧州の原発が占める。福井県内原発も高経年化(老朽化)が進み廃炉時代が目の前に迫る中、日本技術者連盟の廃炉実態調査団に同行し「廃炉先進地」といえる欧州4カ国を訪れ、取材した。


基地 from 沖縄 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

基地 from 沖縄 カテゴリーニュース