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廃炉ビジネス化模索も風評の壁 原発の行方・第6章(下)

  • 2013年4月2日
  • 11:20
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運転終了から10年が経過した「ふげん」。地元経済界は廃炉ビジネス参入の可能性を模索している=福井県敦賀市明神町
運転終了から10年が経過した「ふげん」。地元経済界は廃炉ビジネス参入の可能性を模索している=福井県敦賀市明神町

 日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市)の廃炉作業は、原発と共存共栄してきた嶺南地方にとって新たなビジネスチャンスになるのか―。運転終了の翌2004年に敦賀商工会議所が立ち上げた「廃止措置研究会」が9年間の活動でたどり着いた答えは、根岸保・研究会代表幹事(敦賀セメント常務)の「ふげんだけに限ったビジネスは絶対にない」という一言に集約される。

 ふげん廃炉は単なる解体ではなく、日本における安全で効率的な廃炉技術の確立を目指した“研究”でもある。廃炉費用約750億円は、25年間に及ぶ長期計画の中で使われ、この10年間に使われた予算は、まだ11億円にすぎない。

 解体作業に関し、原子力機構は「町工場でやるような作業もある。プラント建設に比べれば、廃止措置に地元企業が入る余地は大きい」とする。だが残る予算の多くが投入されるのは原子炉本体を中心とする放射能汚染が伴う部分。機構側も「原子炉本体は地元企業ではなかなか…。高度な技術を持っているところになる」と認めており、パイの配分で地元参入はやさしくない。

 研究会発足当初の特需を呼ぶのではないかという「漠然とした期待感」(同会議所関係者)はやがて消えた。

  ■  ■  ■

 現実を踏まえ同研究会は、内部に「解体・除染」「再利用」の2分科会を立ち上げ、長期的な視点に立ったビジネスの可能性を模索している。

 解体・除染分科会は、原子力機構が開発する高度な解体・除染技術を地元企業が学び、より専門的な作業への参画を目指す。再利用分科会は解体で発生する36万トン以上の金属、コンクリート類の廃棄物をリサイクルして利益を生み出す狙いに立つ。

 ただし、成果のほどは未知数。解体・除染に関しては、嶺南には中小企業が多く同研究会側に「新たな研究開発にすぐ参画できる力があるかどうか」(根岸氏)という不安もある。

 リサイクルにも壁がある。ふげんの機器類には純度の高い金属が多く使われ、再利用の価値は高いとされるが、外に持ち出すには放射能レベルが人体への影響を無視できる値かどうかを確認するクリアランス検認をパスする必要がある。

 検認装置はすでに導入済みだが、実際の運用には国の認可が必要。原子力機構は「近々に認可申請したい」としているが、現時点ではこれまでに解体された金属類はすべてプラント内に保管されたままだ。再利用の可能性を模索するにも実物がない状況にあり、同研究会に参加する敦賀市内の企業幹部は「ビジネスの感覚とすると、原子力機構のペースは随分とゆっくりしている」といらだちを隠さない。

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 加えて「風評」の問題もある。以前、分科会で再利用したコンクリートで魚礁を作る計画を進めたが、漁業関係者から原発由来の材料に対する懸念の声が出て、実験段階手前で断念した。

 研究会事務局の清水雅人・同会議所技術支援・産業振興グループ課長は「廃棄物が安全でも出どころは原発。一般の人が理解してくれるかどうか」として、原子力機構に風評被害解消に向けた取り組みを求めている。

 すでに運転40年超の原発を抱える福井県は将来のエネルギー政策の方向性に関わらず、全国に先駆けて廃炉時代に突入する。根岸氏は「廃炉ビジネスは長いスパンの活動。いずれ県内の商業炉が廃炉を迎えたとき、県外から参入してくる企業と経験、技術面で差別化できていることが重要」と強調する。嶺南の産業界一体で粘り強い活動を続けていくしかないとの見方だ。


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