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「切り札」凍土壁、期待外れ 福島第1汚染水対策

  • 2017年1月8日
  • 09:50
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福島第1原発の凍土遮水壁の状況
福島第1原発の凍土遮水壁の状況

 東京電力福島第1原発の事故処理を巡り、地盤を凍らせて地下水を遮断し、汚染水を抑制する「凍土遮水壁」の計画が迷走している。地下水のせき止め効果は東電が示した想定を下回り、原子力規制委員会は「効果は限定的だ」との見方を強める。汚染水抑制の“切り札”として多額の国費を投じたが、期待外れとなる可能性がある。

 昨年12月26日に開かれた規制委の検討会。東電は凍土壁の海側部分の下流でくみ上げる地下水の量が、12月は1日当たり平均176トン、最も少ない日で134トンに上ったと説明した。

 凍土壁の完成前は1日当たり平均約400トン。東電は凍土壁の海側が凍結すれば、70〜100トン程度まで減ると主張してきた。東電は検討会で「一定の効果は出ている」と訴えたが、見込み違いは明らかだ。

 地下水が大幅に減らない理由について、東電は(1)トレンチと呼ばれる地下道の下部は凍結できず、多くの水が流出する(2)地中の配管をまたぐ箇所で壁に隙間ができる―など複数の可能性を指摘した。それぞれに対応した対策は示されず、地下水をコントロールする難しさが浮き彫りになった。

 規制委は凍土壁の効果に冷ややかだ。当初は凍土壁の影響で地下水位が急変し、建屋地下にたまる高濃度汚染水が漏れ出すことを懸念していた。海側部分のせき止め効果を確認して安全性を検証し、山側も含めた全面凍結に移行する予定だった。

 しかし、規制委の更田豊志委員長代理は検討会で「そんなに危険はない」と述べ、検証を待たずに全面凍結を容認する意向を表明した。「海側でこれだけ水を通すのだから、山側もきっと通してくれるに違いない」と皮肉を込めて理由を説明すると、会場の傍聴者からは失笑が漏れた。

 規制委は凍土壁を汚染水対策の脇役と位置付け、サブドレンと呼ばれる建屋脇に設置した井戸の対策を優先するよう求めている。くみ上げ能力を増やせば、地下水の水位をしっかりと管理できるとの理屈からだ。

 東電の担当者は「想定通りの結果が出ていないのは事実なので強く言い返せないが、凍土壁全体を凍結させ、汚染水の発生量を減らす目標に変わりはない」と話す。東電は山側を含めた全面凍結に移る手順などを検討しており、検討会で月内にも議論される見通しだ。

 凍土遮水壁 東京電力福島第1原発1〜4号機の建屋周囲約1・5キロの地中に深さ約30メートルの凍結管を約1500本埋め込んで地盤を凍らせ、建屋に流れ込む地下水を遮断する対策。廃炉作業の支障となる汚染水が建屋内で増えるのを抑制するため2013年5月に国が導入を決め、建設に国費約350億円が充てられた。年十数億円の維持管理費は東電が負担する。14年6月に本格工事が始まり、16年2月に完成。同年3月末から凍結を始めた。


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