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高速増殖炉、薄れる必要性 もんじゅ初臨界20年(下)

  • 2014年4月8日
  • 17:54
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政府のエネルギー基本計画案で、高レベル放射性廃棄物の減容化研究が強調されているもんじゅ。本来の高速増殖炉開発の必要性が薄れてきている=2013年11月、福井県敦賀市上空
政府のエネルギー基本計画案で、高レベル放射性廃棄物の減容化研究が強調されているもんじゅ。本来の高速増殖炉開発の必要性が薄れてきている=2013年11月、福井県敦賀市上空

 発電しながら、燃料となるプルトニウムを消費した以上に生み出すのが高速増殖炉。その開発は、資源の少ない日本に必要不可欠な技術として長年、原発の使用済み核燃料を全量再処理する核燃料サイクル政策の柱に位置付けられてきた。

 しかし、近く閣議決定されるエネルギー基本計画の政府案では「増殖」の文言が消え、2010年の計画にあった「25年ごろまでの実証炉、50年より前の商業炉導入」という実用化の目標時期も削除された。原型炉のもんじゅ(福井県敦賀市)は「研究成果を取りまとめる」とこれまでの役割を維持したものの、増殖炉の実用化の必要性はかなり薄れる形だ。

 「増殖」の位置付けが薄れてきたのは、これまで約1兆円をかけながらもんじゅが事故などで長期停止していることが大きい。ただウラン燃料の35年までの見通しをみても「世界の原子力動向をみると需給が極端にひっ迫する可能性は低い」(日本エネルギー経済研究所)。次の実証炉に向けた国や電力業界の具体的な動きも見えない。

 増殖炉開発の代わりに急浮上してきたのが、もんじゅと同タイプの高速炉を使い、核のごみやプルトニウムを燃やして減らす「専焼炉」。基本計画では、もんじゅは高レベル放射性廃棄物の量を減らす「減容化」の研究や、核不拡散関連技術向上のための国際的研究拠点と位置付けられる方向だ。

 「もんじゅが増殖炉性能を確認した後に専焼炉の研究をするというのは、もともと初臨界前から考えられていた計画」と向和夫・元もんじゅ所長。特にプルトニウムを減らす研究は、もんじゅの炉心周辺部に置かれプルトニウムを生み出すブランケット燃料を外せば可能という。

 なぜ、専焼炉の研究計画が急浮上してきたのか。

 一つは東京電力福島第1原発事故後に原子力政策が見直される中、行き先の決まらない核のごみの処分問題が“アキレスけん”となっているためだ。減容化が実現すれば、最終処分場の規模は小さくて済み、放射能の毒性を減らすこともできるため、国民の理解を得やすい。

 もう一つは約44トンに上る日本のプルトニウムの保有問題。再処理後の消費にめどが立たず国内にたまっている。一般の原発でプルトニウムとウランを混ぜた燃料を燃やすプルサーマル発電も思うように進まず、大量保有が続けば国際社会から核兵器開発の疑念を持たれかねない。来馬克美・福井工大教授は「もんじゅの役割を考えたとき、国際的、政治的に理解を得やすい方向性は増殖ではなく『減らす』という話なのだろう」と指摘する。

 ただ、プルトニウムを減らす専焼炉研究をもんじゅがどれだけ担うかは、基本計画の政府案の中であいまいだ。実際に行うには炉心構成を変える設置許可変更の手続きが必要となる。減容化の実用化にしても、高レベル廃棄物を燃やす専用の燃料製造はまだ基礎研究にすぎない。原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「もんじゅを延命しようとしているだけ」と批判する。

 もんじゅは役割を変容させながら、運転再開に向かうのか。初臨界から20年がたち、正念場は続いている。


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