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波立つ再稼働の情勢 差し止めの衝撃・大飯原発訴訟一審判決(下)

  • 2014年5月24日
  • 17:32
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大飯原発3、4号機を現地調査する原子力規制委員会の委員ら。規制委は福井地裁の運転差し止め判決の影響を否定し、これまで通り審査する方針を示している=2014年1月(代表撮影)
大飯原発3、4号機を現地調査する原子力規制委員会の委員ら。規制委は福井地裁の運転差し止め判決の影響を否定し、これまで通り審査する方針を示している=2014年1月(代表撮影)

 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止め訴訟で争点となった地震の揺れの想定。福井地裁判決は「根拠がなく楽観的」と断じ、安全設備も「脆弱」と切り捨てた。東京電力福島第1原発事故を重くみて、過去の想定の甘さや科学の不確実さを指弾した。

 しかし判決内容に対し、原子力関係の専門家からは科学的根拠に対する認識不足を指摘する声も出ている。

 「原子炉冷却系に関し技術的な事実誤認があちこちにある」とするのは奈良林直(ただし)・北海道大教授(原子炉工学)。「判決では例えば余熱除去系など三つの機能が一つでも失敗したら大事故になるとしているが、一つが機能すれば冷却できる。新規制基準で冷却手段が多様化したことも考慮していない」と指摘する。

 国の耐震指針策定に携わった入倉孝次郎・京都大名誉教授(強震動学)は「科学的見地から非常に不正確」と批判。耐震設計の目安となる基準地震動を超える地震が起きても、ただちに過酷事故にはつながらないと強調した上で「関電の説明も不十分だったのではないか」とみる。

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 大飯の2基は再稼働に向け新基準に基づく原子力規制委員会の安全審査を受けている最中。「規制委の判断を待たず、司法が結論を出すことには疑問」(河瀬一治敦賀市長)との声も上がる。

 関電が2014年5月22日に控訴したため判決が確定しない限り、規制委の審査を合格すれば再稼働は可能。北陸電力志賀2号機(石川県)の運転差し止め訴訟の場合だと、2006年3月に金沢地裁が差し止めを命じた後、高裁での一審判決取り消しを経て、最高裁が原告側の上告を退けるまでの4年半、北電は通常の運転を続けた。いずれにしても判決確定までに年単位の期間がかかるとみられる。

 ただ判決とは別に、規制委の厳格な審査により基準地震動の大幅な引き上げを迫られ、耐震の再評価や追加の補強工事が必要となっている。「長期にわたり再稼働できない可能性もある」(関電)状況だ。

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 県や立地市町は今のところ判決を冷静に受け止めている雰囲気だ。

 規制委はこれまで通り審査を継続し、政府は「新基準の適合が認められた原発の再稼働を進める方針に変わりはない」(菅義偉官房長官)と強調。西川知事は同意手続きについて「従来の方針通り、県民の安全を第一に判断する」との認識を示した。

 だが野田富久県議(民主・みらい)は、判決が投げ掛けた地震想定や防災対策の問題点は重いとする。「これらの問題に対し、県は見解や対応を示すことが県民に対する責任」と述べ、6月県会でただす構え。「判決が確定しない間は軽々に再稼働を認めるべきではない」と厳しい。

 電力消費地の関西でも再び波風が立ち始めた。橋下徹大阪市長は「差し止め判決が出る時代に(関電は)原発一本やりでいいのか」と、6月の株主総会で問うという。

 規制委の審査が大飯より先に進む高浜3、4号機を含め、再稼働をめぐる情勢は穏やかでない。

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 大飯原発3、4号機の再稼働に向け原子力規制委員会の審査が続く中、司法から「運転は認められない」との判断が突き付けられた。2基の危険性、構造的欠陥を指摘した福井地裁判決の影響を探る。


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