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原発の新規制基準施行から1年 安全対策、ハード偏重に陥る

  • 2014年7月8日
  • 19:42
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高浜原発で、放水口側防潮堤(左)の工事状況を確認する福井県原子力安全専門委員会の委員。今の規制が「ハード偏重」との指摘も出ている=2014年6月9日、福井県高浜町
高浜原発で、放水口側防潮堤(左)の工事状況を確認する福井県原子力安全専門委員会の委員。今の規制が「ハード偏重」との指摘も出ている=2014年6月9日、福井県高浜町

 「安全対策の設備がどんどん増え、今の規制は福島第1原発事故以前と同様に『ハード偏重』に陥っている」。2014年6月9日、新規制基準に基づき原子力規制委員会の安全審査が進む関西電力高浜原発3、4号機を福井県原子力安全専門委員会が視察した際、委員から厳しい意見が出た。

 規制委が「世界最高水準」を目指した新基準は、福島事故を教訓に重大事故対策を初めて体系化し事故の段階や状況に応じた防護を要求。特に地震や津波、竜巻などの自然災害への対策はより厳格な基準に引き上げられた。ただ各原発で新基準対応の対策が進んで安全性が向上する一方、課題も見えてきた。

 県専門委の中川英之委員長は「個々の災害への対策は非常に頑丈だが、別の設備に干渉して影響を及ぼす恐れがある」と指摘。例えば火災対策で増設された消火設備が誤作動し、原発内が浸水するリスクもある。「規制委は原発全体のシステムを見て総合的な安全性を考える方向に転換すべきだ」と改善を求める。

 福井大附属国際原子力工学研究所の竹田敏一特任教授(原子炉物理学)も「ハード対策に偏り過ぎ」との見方だ。設備の安全対策だけに頼ると、設備の想定を超えた大事故に対処できないことを懸念。「確率論的リスク評価(PRA)」の本格的な導入が必要だと主張する。

 PRAは原発で起こり得る重大事故を網羅的に分析し、発生頻度や影響を数値で示して評価する手法。安全対策の妥当性の確認や原発の潜在的な弱点の発見に有効とされ、欧米では活用されている。「PRAを用い、事故対応のソフト対策を強化し、ハードとバランス良く組み合わせれば『想定外』に対応できる」(竹田特任教授)が、規制委では検討段階にとどまる。

 福島事故の新たな知見が分かり次第、基準に取り込むことも重要だ。規制委は事故分析を規制に反映させる検討会を設けたが、昨年11月以降は会合の開催がなく低調となっている。

 「福島事故の炉心溶融のプロセスを分析した専門家の考証などを評価し、基準に反映すべきだ」とは、日本原電元理事で福島県内で避難生活を送る北村俊郎さん。「単一原因で事故は起きない。複雑な複合災害などあらゆる想定を考え、硬直的にならない基準と運用が重要」と強調した。


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