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司法が福島第1原発事故後に変化 差し止めの衝撃・大飯原発訴訟一審判決(上)

  • 2014年5月23日
  • 17:31
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大飯原発3、4号機運転差し止め訴訟の判決を前に、横断幕を掲げる原告ら=2014年5月21日午後、福井地裁前
大飯原発3、4号機運転差し止め訴訟の判決を前に、横断幕を掲げる原告ら=2014年5月21日午後、福井地裁前

 大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に向け原子力規制委員会の審査が続く中、司法から「運転は認められない」との判断が突き付けられた。2基の危険性、構造的欠陥を指摘した福井地裁判決の影響を探る。

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 東京電力福島第1原発事故を受け、原発の危険性を訴えてきた住民の思いを司法がくみ上げた。関西電力大飯原発3、4号機運転差し止め訴訟の原告側は、主張がほとんど認められた判決に勢いづき、上級審での勝訴確定へ全力を挙げる決意だ。

 福井地裁の樋口英明裁判長の訴訟指揮は、過去の原発訴訟と明らかに異なっていた。「学術的議論を繰り返すと何年たっても(裁判は)終わらない」と指摘。争点を絞り込み、審理を着実に進め、提訴から1年半という短期間での判決を導いた。

 福島事故後の2012年1月、最高裁は全国各地の裁判官を集め、原発訴訟をめぐる研究会を開いた。この中で、国の手続きの適否判断が中心だった従来の審理を脱し、安全性を本格的に審査しようとする改革論が相次いで出されたという。

 樋口裁判長は判決で「福島原発の事故後、大飯で同じような事態を招く危険性があるのかという判断を避けることは、裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しい」と言及した。今回の判決には、司法の姿勢の転換点となる可能性もうかがえる。

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 判決で、原告が高く評価する点の一つに、原発から250キロ圏内に住む原告の訴えを認めたことがある。原子力規制委員会は福島事故を受け、防災重点地域を30キロ圏に広げ、避難計画の策定などを求めている。しかし判決は、そうした防災対策の在り方を真っ向から否定した形だ。

 脱原発弁護団全国連絡会(事務局・東京)の河合弘之共同代表は「これほど広域な安全対策が取れるはずもない。判決は『日本で原発稼働は無理だ』と言っている」と強調する。関電の控訴について、「一審判決を覆すのは理論的に不可能。“控訴のためだけにする控訴”であり、子どもじみている」と批判した。

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 福島事故後で初の勝訴判決に沸く原告団と弁護団。しかし、過去の原発訴訟は、反対派住民らの敗訴の歴史だった。

 史上初の原告勝利となった高速増殖炉「もんじゅ」訴訟の名古屋高裁金沢支部判決(2003年)、2例目の志賀原発2号機差し止め訴訟の金沢地裁判決(06年)も、ともに上級審で敗訴が確定した。

 大飯原発訴訟で原告団長を務める中嶌哲演さん(72)=小浜市=は、「もんじゅ」訴訟にも1985年の提訴時から関わった。勝ち抜く難しさを実感している一人だ。「行政も司法も、上(中央)に近づくほど原発の安全・必要神話に漬かっている」と話す。

 一方で中嶌さんは「福島事故と、今回の地裁判決を受けて司法は変わったと信じる」との期待も口にする。「原発推進の厚い壁に開いた穴を広げ、安心安全な社会を築く」と気を引き締めた。


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