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大震災3年、原発再稼働へ複雑思い 高浜、おおいに不安と期待

  • 2014年3月11日
  • 19:11
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対岸の高浜原発を見つめる町民。高浜、おおい両町では再稼働を望む声と、事故や将来への不安を払拭できない複雑な思いが聞かれた=福井県高浜町音海
対岸の高浜原発を見つめる町民。高浜、おおい両町では再稼働を望む声と、事故や将来への不安を払拭できない複雑な思いが聞かれた=福井県高浜町音海

 東京電力福島第1原発事故から3年。再稼働の前提となる原子力規制委員会の安全審査が全国の原発で進む中、福井県内では関西電力大飯3、4号機と高浜原発3、4号機の審査の行方に注目が集まっている。地元高浜、おおい両町では、関連する仕事に就く住民も多いだけに、早期再稼働を切に願う声は強い。一方で事故への不安はぬぐえず、原発に頼りすぎてきた町の将来への危機感も胸に秘める。思いは複雑だ。

 大飯、高浜の両原発は長期停止中の今も、通常の定期検査時に相当する1日3千~3500人の作業員がそれぞれに出入りする。安全審査が佳境を迎える中、津波や巨大地震などに備えた安全対策工事が急ピッチで進められているためだ。

 作業員の宿泊を収益の柱とする宿泊業者にとっては想定外の“特需”。大飯原発のすぐ近く、おおい町大島で民宿を営む庄司庫雄さん(80)は「半年前まで部屋は空っぽだった。今は大島に45軒ある民宿に大なり小なりお客さんが戻ってきた」と喜ぶ。ただ経営安定には福島事故前の運転状況に戻るのが望ましいとも思っている。「私たちは原発と共存共栄している。早く再稼働してほしい」と期待する。

 下請け会社に約20年勤務するおおい町の男性(40)は安全対策工事に携わり忙しい毎日を送る。「安全が確認されれば速やかに再稼働した方がいい。日本全体の成長戦略の観点や地元の活性化、自分自身の仕事のこともある」と率直に話す。「原発で働く人たちは『福島事故のようなことは絶対に起こさない』と責任を持って働いている」と携わる作業員の自負や、意識の変化も代弁した。

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 再稼働を望む声は根強いが、安全や安心面での不安を完全にぬぐいきれずにいるのも実情だ。

 3人の子どもを持つ高浜町の40代のパート女性は親せきや友人が下請け会社で働いており、「みんなが生活していくために原発が動いてほしい気持ちは強い」。それでも福島事故の現状や古里に帰れない福島県民の姿をニュースで見ると「万が一」を考えてしまう。「人ごととは思えない。本当は少し怖い。だけど仕方がない…」と複雑な胸の内を明かす。

 「莫大(ばくだい)なお金をかけて原発を守る対策をするなら人間も守ってくれ」。こう訴えるのは高浜原発の対岸集落、同町音海の金森幹夫区長(67)。高浜原発で建設中の防潮堤などの津波対策を現地見学したが、一方で集落の海岸線に十分な防潮堤はない。「もっと人間も重視して」との思いは強い。

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 「福島事故があったから原発を減らす方向性は仕方ない」と、自覚している住民は少なくない。だからこそ町財政への影響や将来像が気に掛かる。

 高浜町中山の農業、池田康信さん(72)は町の将来を憂う一人だ。「目の前の再稼働に一喜一憂している時間はなく、ポスト原発を考えないと、高浜が原発の墓場になってしまう」と危機感を募らせる。

 同町の一般会計歳入は5割以上を原発関連収入が占め、原発への依存度は高い。池田さんの自宅近くには一昨年、体育施設「青葉ふれあいドーム」が建設された。建設費は約4億円で、人口約1万1千人の町の規模から考えると、ぜいたくな施設にも映る。「嶺南一の施設や。行政サービスも他の自治体に比べて恵まれているし、至れり尽くせり。だからといっていつまでも続くとは思えない」と語る。

 おおい町本郷で50年以上にわたって美容室を営む上田幸子さん(78)は「原発によって町の財政に余裕があるうちに、原発に頼らなくてもいい未来を真剣に探ってほしい」と願っている。


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