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人材育成へ奨励策を 米原子力規制委に聞く(下)

  • 2013年1月10日
  • 17:20
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「日本の研究や運転経験は国際的に共有すべきだ」と語るNRCのマグウッド委員=12月、東京都内
「日本の研究や運転経験は国際的に共有すべきだ」と語るNRCのマグウッド委員=12月、東京都内

 米原子力規制委員会(NRC)のウィリアム・マグウッド委員は福井新聞社のインタビュー取材で、日本の原子力政策の方向性について「1979年のスリーマイルアイランド原発事故=「W」ワードファイル=を機に米国が行ってきたように、厳しい教訓を学び、厳しい選択をし、自らを改革していくことが必要」と指摘。安全性確保、維持には人材育成の取り組みが重要と助言した。

 ―東京電力福島第1原発事故を受け日本では、前政権が「2030年代の原発稼働ゼロ」を目標とするエネルギー戦略を打ち出した。

 「日本国内の問題であり、どの国も独自のエネルギー政策を独自に決定する権利があるというのが米国の基本的な立場。米国は原子力政策を維持し、引き続きプロジェクトを進めていく。福島で起きた事故により米国の道筋が変わったということはない。日本の考え方は日本政府、国民が決めることだが、当然、安全に一層力を注ぐことは求められるだろう」

 ―使用済み核燃料の最終処分はどの国でも大きな課題だ。解決に向けた米国の方策や見通しは。

 「商業用原発を運転する上で最も難しい問題の一つ。米国では何年もかけてネバダ州ユッカマウンテンを恒久的な最終処分場とする計画を進めてきたが、オバマ政権になり『うまくいかない』と建設を断念した。新しい処分場の候補地が決まるまでは、固化した形での乾式貯蔵を行う方針。今は原発のサイト内で乾式貯蔵していて、かなり大量の廃棄物が各サイトで乾式キャスクに入っている」

 「他国では再処理して核燃料サイクルを完結させる選択を取っていることは理解しているが、米国の考えは異なる。米国にとって経済性がないからだ。米国の状況は日本や他の国と違っている点がいろいろあり、例えばウラン以外の資源も豊富にある。今、再処理の実施を正当化するような理由付けは存在しない」

 ―中韓などアジアの国が原発導入を進める中、安全規制や人材育成に日本が果たすべき役割は。

 「アジアで最も研究や教育、運転経験があるのは日本。日本の経験を国際的に共有することは非常に大きなメリットがある。他の国々が最高水準の安全性を目指せば、当然日本にもメリットとして返ってくる。ぜひそうあってほしい」

 ―福井県には国内最多の14基の原発がある。人材育成などでどんな貢献ができるか。

 「この先10年間、日本が抱える大きな課題は、優秀な工学系の学生が原子力工学を専攻するかどうか。スリーマイルアイランド原発事故の後、米国でも学生数が大きく減る状況が10年続き、大学から原子力工学分野が消えてしまうのではないかという事態にまで至った。政府は奨学金を充実させるなどして、何とか学生が増えるよう奨励策を取った。福井県が(先行して)そうした取り組みを進めるのはどうか。例えば地元の大学に奨励策を設けるとか、あるいは原子力を学ぶことによる将来の昇進・昇格モデルを示す形は有効ではないか」

 【スリーマイルアイランド原発事故】 1979年3月、米国のスリーマイルアイランド原発(加圧水型軽水炉、出力95・9万キロワット)のポンプが故障し、原子炉が自動停止した。圧力逃がし弁が開いているのに気づかず緊急炉心冷却装置を停止したため、炉心内の水量が減り燃料が露出、約45%が溶融し、放射性希ガスやヨウ素が大量に放出された。この事故を境に米国では原発の新規着工が途絶えたが、米原子力規制委員会(NRC)は昨年2月、ボーグル原発3、4号機の建設を認可、34年ぶりに新規着工することになった。


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