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原発規制、公開が基本 米原子力規制委に聞く(上)

  • 2013年1月9日
  • 17:07
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「米国では各原発に検査官が常駐して状況把握に努めている」と説明するNRCのマグウッド委員=12月、東京都内
「米国では各原発に検査官が常駐して状況把握に努めている」と説明するNRCのマグウッド委員=12月、東京都内

 米原子力規制委員会(NRC)のウィリアム・マグウッド委員が2012年12月、国際シンポジウム出席のため来日し、都内で福井新聞社の取材に応じた。東京電力福島第1原発事故で日本の規制組織の信頼が失墜した点に関し「業界を含めて誰に対してもオープンであることがNRCの基本方針。それが一般市民の信頼を得ることにつながる」と指摘。現場重視の米国の安全規制の考え方を説明するとともに、日本に対し、事故の厳しい教訓を学んで自ら改革する姿勢が重要だと助言した。インタビューを2回に分けて紹介する。

 ―福島のような過酷事故が起きた場合のNRCの役割は。

 「米国では各原発に検査官が常駐している。仮に事故が発生した場合、検査官が窓口となってNRC本部に状況を伝えるようになっている。本部でも現地の情報を十分に把握でき、きちんとした助言、必要な調整作業ができる態勢だ」

 「サイト内の対応は一義的に事業者の責任だが、事業者はNRCの監督下にある。サイト外の一義的な責任者は州知事で、住民避難などの意思決定をする。NRCは事業者にも知事にも助言する。助言よりも強い何らかの介入をする場合は、よほど特殊な状況だろう」

 ―NRCはどんな形で原発の検査体制を敷いているのか。

 「常駐の検査官を置くようになったのは1979年のスリーマイル島原発事故の教訓からだ。事故が実際に進展しているとき、NRCとして入手できる情報の質が必ずしも高くなかった。現場に検査官がいれば伝わってくる情報の質が良くなり、理解もより正確になるのは明らかだ。プラントの運転状況を常に評価するのが平時の役割。緊急事態が起きた際は、より強く質の高い形で正確に対応できる」

 ―日本の安全規制はこれまで、事業者が提出した書類の審査が中心だった。現場重視の重要性はどんな点にある。

 「日本が米国と全く違った制度を取っていることはよく分かっている。ただ、福島の事故でも現地に常駐検査官がいたら、恐らく情報に関する問題は今回ほど深刻にならなかった。新たに発足した原子力規制委員会と原子力規制庁がどんな計画を持っているのかは把握していないが、NRCのような制度をぜひ検討されるといいと思う」

 ―規制委と電力事業者との距離感はどうあるべきか。

 「日本で新しい規制組織ができ、厳しい日程の中で、いろいろな課題に取り組んでいる。そうした活動の中で、業界との関係はどんな形が最もいいかが見えてくるのではないか。一般論として規制当局は、オープンで透明性を保つメリットが非常に大きい。いらぬミスを避けることもできる。段々と規則の形がまとまってくるのではないか」

 ―日本の規制組織に協力、助言できる点は。

 「原子力について日米は相互に実り多い関係を築いてきた。NRCと日本の原子力規制委員会の関係もまさにそうなると思う。密に協力していきたい。規制のあり方は必ずしも同一ではないが、基本となるアプローチや考え方は似ている面が多い。協力することが双方のメリットになる。実は既に両者の間でどのように交流、情報交換していくか、プロセスをつくろうという話が進んでいる。近いうち何らかの形で具体的な実を結ぶと考えている」

 【ウィリアム・マグウッド氏】 ウェスチングハウス・エレクトリック社(WH)の科学者からワシントンのエジソン電気協会に移り、1998年から2005年まで米エネルギー省原子力エネルギー局長。10年4月に原子力規制委員会(NRC)委員に就任し、同年7月に再任された。任期は15年6月まで。

 【米原子力規制委員会(NRC)】 1974年に米議会の主導で設置された独立機関で、原発の運転許可や検査などの規制業務を行う。職員は約4千人。原発に常駐する検査官の前歴は、原子力潜水艦に乗務した海軍軍人や原発の運転員など多彩だ。福島第1原発事故発生翌日の2011年3月12日から順次、専門家チーム20人前後を日本に派遣し、日本政府や東京電力に対して原子炉の冷却や水素爆発の防止など技術的なアドバイスをした。


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