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原子力規制委の姿勢、独立か独善か 専門性の向上不可欠

  • 2013年7月12日
  • 17:01
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敦賀原発2号機を背景に、日本原電の濱田康男社長(左)、原子力規制委員会の田中俊一委員長(中)、西川一誠知事(右)のコラージュ
敦賀原発2号機を背景に、日本原電の濱田康男社長(左)、原子力規制委員会の田中俊一委員長(中)、西川一誠知事(右)のコラージュ

 2013年7月3日の県会予算特別委員会。西川一誠福井県知事は原子力規制委員会の姿勢を厳しく批判した。「国のエネルギー政策に県民の理解を得ながら貢献してきたにもかかわらず、信頼を損ねている側面が多い」。日本原電敦賀原発2号機の敷地内断層をめぐる審査などで、独立性を重視するあまり孤立、独善に陥っているのではないか―という問い掛けだ。

 県会でも自民党県政会を中心に不信感が渦巻いている。5日には「立地地域の声に耳を傾ける姿勢が見えない」として、中立的な議論を行い、関係自治体への説明責任を果たすよう求める意見書を可決した。

 米国では、原子力規制委員会(NRC)に対し、多様な専門家を抱える原子炉安全諮問委員会(ACRS)が独立した立場から技術的な勧告を行う。

 県は6月、米国と同じような評価機関を設置するよう政府に要請した。「国会の特別委員会では政治的な問題が生じる。科学的、技術的観点から純粋にチェックする機関が必要」(櫻本宏安全環境部長)という考えだ。

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 規制委が発足するまでは、旧原子力安全・保安院が規制行政を担い、原子力安全委員会が二重チェックする仕組みだった。今の体制で規制委を監視する組織はない。保安院から“衣替え”した原子力規制庁は事務局と位置付けられ、「規制委の下請け」(県関係者)のような状態になっている。

 ある規制庁幹部は「二つの組織が一つになったので、許認可の期間は圧倒的に短縮できる」と利点を強調する。一方で県の岩永幹夫企画幹(原子力)は「規制委が強すぎて規制庁が何をやっているのか見えない」と、規制行政の透明性が失われかけているとみる。

 「合議制の委員会として機能していない」と指摘するのは、原子力の法規制に詳しい西脇由弘東京工業大特任教授。活断層や規制基準など分野によって専門の委員自身が取り仕切り、他の委員は反論できない状況にあるとし「規制庁が審査し、規制委は高い立場から発言すべきだ」と改善を求める。

 そのためには規制庁の体制強化が必須だが、独立行政法人「原子力安全基盤機構(JNES)」の統合は難航。規制委の田中俊一委員長は約500人の規制庁職員を「倍増要求したい」としているが、見通しは立っていない。

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 「過去の審査に携わった専門家を除外するのではなく、組織全体の構成でバランスを取り、オールジャパンの組織にしなければ」。原発立地地域選出の田中宏典県議は、規制委がつくる評価会合が中立性を持っているのか疑問符を付ける。西脇特任教授も「規制委のいう中立性は単に事業者から離れることを指している」と懐疑的だ。

 一方で「規制委が聞く耳を持たないという批判があるが、それは国や電力会社が独断的、閉鎖的なやり方をしてきたことの“しっぺ返し”」と皮肉交じりに語る電力関係者もいる。「規制委が厳しい姿勢で臨んでいるからこそ、国民の信頼をぎりぎりの線でつなぎ留めている」との声もある。

 NRCは「良い規制の原則」として「最高レベルの倫理観と専門性以外の何ものも規制に影響を及ぼすべきではない」と独立性の重要性を明確にうたっているが、「独立性は孤立を意味するものではない」と付け加えている。

 「政治的な独立性」が法的に保証されている日本の規制委は、多様な意見に耳を傾けた上で評価・決定できる「技術的な独立性」も追求する必要がある。電力会社や立地地域と丁寧に議論し、意見が異なる相手には、納得させられるだけの専門的能力がなければ、規制当局としての信頼性は高まらない。


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