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原発保安検査官の実力は本物か 能力磨き現場主義を徹底

  • 2013年7月9日
  • 16:48
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もんじゅの保安検査の方針を説明する原子力規制庁職員。保安検査や日々のパトロールで原発の安全性を点検している=2013年6月3日、福井県敦賀市白木
もんじゅの保安検査の方針を説明する原子力規制庁職員。保安検査や日々のパトロールで原発の安全性を点検している=2013年6月3日、福井県敦賀市白木

 「本日の体制は21人です」。関西電力大飯原発3、4号機が新規制基準に適合しているか確認した2013年6月の現地調査で、原子力規制庁はこう報道陣に説明した。だが、実際にいたのは22人だった。現地の保安検査官が1人加わっていたことを広報担当者が失念していたからだ。

 福井県敦賀市内に常駐する地域原子力規制統括管理官を6月まで務めた森田深安全規制調整官は、この場面を目にし「地方の位置付けが低い」と感じたという。

 東京の規制庁本庁と、おおい町の原子力規制事務所の間で、わずか1日の現地調査を効率よくこなすための事前調整は行われなかった。同事務所の6人の保安検査官をどう活用するかも決められず、前日に「1人貸してくれ」と言われただけだった。

 「現場主義」「現場の検査官が強くないと」―。こうした原子力規制委員会の田中俊一委員長らの発言とは裏腹に、体制や意識は「旧原子力安全・保安院時代から大きな変化はない」(森田氏)。発電所を熟知する保安検査官の能力を磨き、「現場主義」を徹底することが安全性を高めることにつながると指摘する。

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 現場の重要性がクローズアップされたのは、高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)で発覚した1万点以上の機器の点検漏れ。昨年9月、保安検査官が抜き打ち検査を行った際に、機器の点検間隔が変更されているのを見つけたのをきっかけに、明るみに出た。

 県内の保安検査官は24人おり、原発ごとにある原子力防災センターに数人が詰めている。運転・管理について定めた保安規定が守られているか点検する年4回の保安検査や日々のパトロール、トラブルが起きたときの現場確認が主な業務。ただ「検査業務が形骸(けいがい)化している。実効性を高める仕組みが必要」と保安院時代から指摘されてきたのも事実だ。

 保安検査官には資格試験があるわけではなく、理学・工学系学科の大卒者で、2年以上の実務経験があればなれる。

 元日本原電理事の北村俊郎さん=福島県=は「規制庁に本当の実力があるかどうか」と話し、国家試験のある原子炉主任技術者などのように、育成システムを確立する必要があると訴える。

 原子力潜水艦に乗務していた海軍軍人や原発の運転員などが検査官になっている米原子力規制委員会(NRC)とは大きな違いがあるという。

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 15年ほど前からは、日本でも原子炉メーカーの出身者や電力会社関係者らを中途採用するなど、実力を高める試みは行われているが、能力向上には何が必要か。

 森田氏は規制に関する法体系を理解する重要性を強調する。「保安規定だけ読んでいても仕事はできるが、書かれた理由が記された法律の条文との関連性が分かっていないといけない」

 ともすると中途採用者には、こうした視点が欠けているという。例えば、安全対策などをめぐる要求を電力会社に納得させるには、技術的な面と法の趣旨を説明できる知識が必要で「そこを伸ばしていく必要がある」と語る。

 旧保安院への出向経験もある県の岩永幹夫企画幹(原子力)は「保安検査官は(トラブルなど問題が起きたときではなく)後から保安規定違反だと指摘することが多い。結果としての『安全文化の劣化』を言う前に、日々の仕事、その場その場での指導が必要」と強調。発電所に毎日いるからこそ、事業者側もトラブル時などに信頼できる能力を持った保安検査官かを見極めていると指摘した。


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