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原発抗議に3900万円賠償請求 中国電訴訟、長期裁判を経て和解

  • 2016年9月20日
  • 11:10
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中国電力との訴訟の和解後、支援者から花束を受け取る橋本久男さん(左から2人目)ら=8月30日、山口地裁前
中国電力との訴訟の和解後、支援者から花束を受け取る橋本久男さん(左から2人目)ら=8月30日、山口地裁前

 中国電力(広島市)が山口県に計画する上関原発建設関連の工事を妨害されたとして、抗議活動をした4人に計約3900万円の賠償を求めた訴訟が8月30日、提訴から約6年8カ月を経て山口地裁で和解した。訴訟の行方は各地の原発反対運動関係者だけでなく、法律家らの注目も集めていた。裁判の目的が勝訴より、市民の表現活動を抑圧する「どう喝」ではないかとみられたためだ。

 大企業や公的機関がどう喝目的で個人を訴える裁判は、米国ではSLAPP(スラップ)と呼ばれる。個人が萎縮すれば「表現の自由」が脅かされるとして、多くの州が規制。日本では問題性が十分認知されず、この種の裁判が散見される。

 「本当に苦しく、長い闘いだった」。被告とされた4人は和解後、地裁近くで目を潤ませたり、声を詰まらせたりしながら振り返った。2009年11月、中国電側による海の埋め立て工事に対し、4人を含む反対派は漁船やシーカヤックから抗議の声を上げた。中国電は翌月、「航行妨害などで工事中止を余儀なくされた」と提訴。被告の1人で、予定地の対岸・祝島の原発反対派代表清水敏保さん(61)は「どう考えても支払えない金額。どうなるのだろうと思った」と話す。

 訴えられた経験がなく、何から始めればいいか分からない。弁護士は、費用はどうすれば。生活や仕事への影響は…。先の見えない不安を抱えて弁論に臨んだが、審理は一向に進まない。具体的な妨害がいつ、どこであったのか、争点すら不明確なまま期日を重ねた。

 4人の弁護団は「訴えた側が立証責任を尽くさない。長引かせて疲れさせる目的だろう。典型的なスラップだ」と中国電側を繰り返し批判した。

 被告で漁師・大工の橋本久男さん(64)は「子どものいない私はまだいいが、それぞれの家族に苦労をかけるのがつらかった」と語った。

 裁判所からの打診が契機となり、成立した主な和解内容は(1)4人は工事再開時、予定地立ち入りや作業船への妨害をせず、違反すれば罰金を支払う(2)中国電は賠償請求を放棄する(3)4人の表現行動は制約を受けない―。

 弁護団は「一円も支払わずに裁判から解放され、今後の抗議活動も制約されない。実質勝訴」と胸を張ったが、和解までにかかった期間は、民事裁判の平均約8カ月の10倍近い。弁護団の一人はこう述べた。「中国電も一定の目的を果たしたと言えるかもしれない」

   ×   ×   ×

 スラップ(SLAPP) 大企業などが個人の表現活動を抑圧する目的で起こす裁判。Strategic Lawsuit Against Public Participationの略で、直訳すると「公的参加に対抗する戦略的訴訟」。提訴された側は経済的、精神的、時間的に圧力を受けるため、主張を取り下げたり、活動が萎縮したりする可能性がある。専門家によると、米国では憲法が保障する「表現の自由」を脅かすとして、多くの州で「反スラップ法」が整備されている。


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