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汚染水対策険しい道、福島第1  「凍土壁」効果に疑問

  • 2016年9月11日
  • 09:48
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東京電力福島第1原発の敷地内に建造されたタンク=8月26日
東京電力福島第1原発の敷地内に建造されたタンク=8月26日

 広大な敷地を埋める貯蔵タンク群は、5年半にわたる汚染水との闘いを物語る。東日本大震災による地震と津波で、史上最悪の原子力災害を引き起こした東京電力福島第1原発では汚染水対策の決め手として国民が注視する「凍土遮水壁」が稼働するが、思うような効果は出ていない。廃炉工程で最難関とされる溶融燃料の取り出しは建屋内の調査段階で、気の遠くなるような挑戦が続く。

 東京電力が福島第1原発の汚染水対策の「切り札」と位置付けるのが、1〜4号機周囲の地盤を凍らせ、建屋に流れ込む地下水を大幅に減らす計画「凍土遮水壁」だ。今年3月に運用を開始し、海側は大部分で凍結が進んだとみられるものの、原子力規制委員会は、下流側の地下水の量に大きな変化はないとして効果を疑問視。完成時期も決まっていない。

 1〜3号機ではメルトダウン(炉心溶融)を起こした核燃料の冷却のため、大量の水が原子炉に注入され、高濃度汚染水となって原子炉建屋やタービン建屋の地下にたまっており、総量は8月時点で約7万トン。浄化中の汚染水などをためる敷地内のタンクも千基近くに上る。

 海岸に立つ第1原発の地中には山側(西側)から地下水が流れ、配管の隙間などから建屋に流入して高濃度汚染水と混ざり、新たな汚染水となって増え続けている。建屋付近では、流入前の地下水をくみ上げ、浄化後に海へ放出する「サブドレン」や、護岸からの流出を防ぐ「海側遮水壁」など、これまでに複数の対策を実施している。

 これらに加え、全長約1・5キロの凍土壁が完成すれば、1日の建屋への流入量は現在の200トン前後から50〜100トン程度となり、東電は、汚染水の発生量を大幅に減らせると見込む。

 ただ、計画は思うように進んでいない。東電は当初、今年3月までに凍結を完了させる予定だった。しかし、凍土壁の効果で建屋周辺の地下水位が急激に下がると、建屋から高濃度汚染水が漏れ出す恐れがあり、規制委が「確実な水位管理方法が示されていない」と待ったをかけ、議論の末、3月にようやく凍結開始が認められた。

 凍土壁の凍結設備は8月末の時点で、海側(東側)は全面的に稼働。山側は地下水位の急激な変化を避けるため7カ所の未凍結区間を設けて段階的に稼働させ、効果や安全性を確認した上で全面凍結に移行予定だが、時期は未定だ。

 地下水の流れが速い箇所では凍結が遅れ、8月の台風の大雨で壁が溶けた場所もあり、セメントや薬液を地中に注入して凍結を促す追加工事が約10カ所で必要となった。

 凍土壁の現状について、東電は「大半は順調に凍っている。壁の内外で地下水の水位差が生じており、遮水効果は表れ始めている」と説明する。しかし、地下水がうまくせき止められていれば、壁の下流側の地下水量が減るはずだが、目立った変化はなく、規制委の有識者には「計画は破綻している」との声も。東電は「地下水量が変化するまでには時間差がある。追加工事の効果も見極めたい」と当面はデータの推移を見守る姿勢だ。

 建屋地下の高濃度汚染水の抜き取りや浄化も課題だ。東電は2020年中に処理を完了させる方針だが、規制委は外部流出の恐れを指摘し、タンク増設などで処理を加速するよう求めている。

 汚染水の浄化後、タンクにため続けている放射性物質トリチウムを含んだ水も基準値を下回れば法令上は海洋放出が可能で、規制委は薄めて放出すべきだとの考えだが、漁業関係者らの同意は得られていない。

溶融燃料 阻む廃炉 取り出しへ技術開発続く

 東京電力福島第1原発1〜3号機で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しは、廃炉工程で最大の難関とされ、東電は2021年12月までの作業開始を目指している。原子炉内部の状況を把握するため、宇宙線を利用した調査や、遠隔操作ロボットの開発が続いているが、高い放射線量に阻まれ、作業は難航している。

 2号機で7月、デブリの具体的な位置が事故後初めて判明した。物質を透過する性質を持つ宇宙線の一種「ミュー粒子」を使った透視調査で、大部分の溶融燃料が原子炉圧力容器内にとどまっている可能性が高いと分かったためだ。

 廃炉に向けた重要な手掛かりと期待されるが、デブリを確実に取り出すための情報としては不十分。今後の調査で炉内のデブリを直接確認し、硬さや分布状況などを特定することが不可欠だ。

 1号機では格納容器内にカメラ付き遠隔操作ロボットを入れることに成功したが、デブリの撮影はできず、新たな調査を計画している。2号機ではロボットを投入する入り口の線量が非常に高く、昨年夏に開始予定だった調査は延期に。新たな遮蔽(しゃへい)体を製作中で、来年1月にも実施できる見通しという。3号機のロボット調査時期は未定だ。

 政府と東電は各号機について、どの場所からデブリを取り出すかといった手順や工法などを、来年夏ごろをめどに絞り込む方針。工法は一つではなく、格納容器を水で満たす「冠水工法」や、水を張らない「気中工法」で上部、側面から取り出す方法を組み合わせる方向で検討が進んでいる。

 使用済み核燃料プールに残る燃料の取り出しも、実現に向け課題が多い。3号機では燃料取り出し用の大型機材を今夏にも設置する予定だったが、建屋上部の除染やがれきの撤去に時間がかかったため遅れている。建屋内部の除染やがれき撤去を進める1、2号機も、想定通りに進むか予断を許さない状況だ。


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