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対温暖化に原発有効か コスト増も推進の動き

  • 2016年8月29日
  • 16:00
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温暖化対策としての原子力の重要性を議論したモスクワの国際会議「アトムエキスポ」のパネルディスカッション=5月
温暖化対策としての原子力の重要性を議論したモスクワの国際会議「アトムエキスポ」のパネルディスカッション=5月

 地球温暖化が深刻化する中、二酸化炭素(CO2)排出量の少ない発電方式として原子力発電を推進しようとの動きが目立つ。一方で、再生可能エネルギーと違って、コストが高く小回りが利かない原子力は温暖化対策の主力とはなり得ないとの指摘も根強く、論争が続いている。温暖化対策としての原子力をめぐる動きを追った。

 「地球温暖化対策だけでなく大気汚染対策にもなる原子力に、風力や太陽光と同じ支援策を導入すべきだ」―。今年4月、60人を超える米国や英国、インドなどの研究者らが、米イリノイ州知事などに温暖化対策として同州内の原発への支援強化を求める要望書を提出した。

 要望書は、温暖化問題への熱心な取り組みで知られる米航空宇宙局(NASA)の研究者、ジェームス・ハンセン博士が主導。米国の著名な環境保護団体の前代表や環境問題に熱心な企業経営者などが名を連ねたことから注目を集めた。

 ハンセン博士らは「イリノイ州の原子力が、太陽光や風力のようなクリーンエネルギー優遇策の対象となっていないため、閉鎖の危機にある」と指摘。「再生可能エネルギーは不安定で、普及に時間がかかる」と温暖化対策としての原発の重要性を強調した。

 だが、これらの主張には批判的な意見も多い。原発の建設コストや維持管理費用が増加傾向にある一方で、低価格が進む再生可能エネルギーが急拡大していることなどが理由で、電力部門の排出削減の主役は再生可能エネルギーだと予測する専門家は多い。

 経済協力開発機構(OECD)の原子力機関(NEA)は昨年「原子力技術ロードマップ」と呼ばれる報告書を発表。「産業革命以来の気温上昇を2度未満に抑える」との国際目標達成のために必要と見込まれる2050年の原子力の設備容量を10年版の12億キロワットから9億3千万キロワットに、発電総量に占める比率も25%から17%に下方修正した。

 東京電力福島第1原発事故以降、安全対策などで原発のコストが上昇する一方、太陽光などの急拡大が見込まれることが理由だ。

 NEAは「原子力は温暖化対策上重要だ」としつつも、高い建設コストや再生可能エネルギーとの競争などが原因で「原子力は主要な脱炭素技術としての潜在能力を発揮できる状況にはなく、(17%という)見通し自体が野心的なものだ」とシビアに分析している。

 ■「パリ合意は最大の好機」

 「地球温暖化防止のためのパリ協定採択は世界の原子力産業にとって最大のチャンスだ」―。5月末、モスクワで開かれたロシアの国営原子力企業「ロスアトム」が主催する大規模な国際会議「アトムエキスポ」で、同社のキリル・コマロフ副総裁はこう指摘した。

 今年のメインテーマは「炭素排出のない電力の基礎としての原子力発電」で、世界の原子力関係者や企業の代表が参加するパネルディスカッションなどが開かれた。

 会議場の中央には、原発がどれだけ温室効果ガスの排出削減に貢献しているかをリアルタイムで示す装置が置かれ、各国の原子力関連企業の担当者や国際機関の幹部が「環境保全と調和する原子力」をさまざまな場でアピールした。

 ロスアトムのキリエンコ総裁は「再生可能エネルギーはどこでもいつでも手に入るものではない。大幅な温室効果ガスの排出削減に各国が合意したパリ会議以降、ロシアではベースロード電源としてさらに重要な役割を果たす」と胸を張った。

 一方、会議では世界の再生可能エネルギーの現状に関するセッションも開かれ、急成長するその現状が相次いで報告された。

 ある参加者は「今世紀初め、温暖化対策としての原子力が注目され『原子力ルネサンス』が叫ばれたころ、再生可能エネルギーは地平線のかなたにも見えなかった。それが今では世界の電力供給の主役となりつつある」と指摘。「この会議で再生可能エネルギーの話がこれほど盛り上がるとは思わなかった」と、強力なライバルとなった再生可能エネルギーに警戒感を隠さなかった。

 ロシアのシンクタンクのビクター・フェクセルバーグ代表も「過去5年間で再生可能エネルギーのコストは2分の1以下になった。その可能性には限界がないように見える」と述べた。

 パネルディスカッションでは「時には1基1兆円にもなる巨額の資本を調達しなければならず、投資回収までに長期間を要するという現実が重い足かせになっている」「政府の支援や炭素税の導入などが欠かせない」との声が再三に聞かれた。

 ディスカッションに参加した中国の風力発電企業、ミン・ヤン・インターナショナルのサイモン・ユー最高経営責任者は「世界の再生可能エネルギー市場は急速に拡大している。ロシアもこの市場の重要性を考えるべきだ。来年はもっと多くの再生可能エネルギー企業がここにくるといい」と自信たっぷりに話した。


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